BUMP OF CHICKEN TOUR 『WILLPOLIS 2014』@静岡エコパアリーナ
バンプのライヴに参戦してまいりました。なんと6年前のたまアリ以来。
会場は静岡エコパアリーナ。こちらはレミオロメン以来5年ぶり。
そして、ワタクシとしては非常に濃厚でタイトなスケジュール。今日は午前中オープンスクールで、それが終了後すぐに車で掛川に飛んでそこから電車で愛野へ。ライヴ終了後静岡市の実家で寝て早朝東京へ。午後3時間ほどコンサートの練習でバッハを弾いたあと、国立競技場のポール・マッカートニーのライヴへと。
そろそろ50になろうかというおじさんにとっては、かなりきつい(笑)。まあ、どれも皆さんに誘われてのイベントですから、音楽の神様からのプレゼントですよね。幸せなことであります、ハイ。
ということで、BUMPのライヴ。そういう流れの中での一コマですから、おそらくは会場の他の皆さんとは違った視点・聴点で観て聴いたことと思います。
一般的な感想やセットリストなどは、他のファンの方におまかせするとして、ちょっとした苦言も含めて私なりの感想を書かせていただきます。
まず、彼らの存在自体から。
なるほど、彼らは、ロックと「優しさ」という、本来相容れないものを融合した稀有なバンドだなと。彼らの人気がどこに根ざしているかというと、間違いなく「優しさ」です。
それが6年前に感じたキリスト教的な宗教性であったのでしょう。今回は会場がたまアリに比べれば小ぢんまりしていたこと、演出が「俗」だったこと、静岡のお客さんがある種庶民的であったこと(笑)などなどの理由により、なんといいますかね、宗教的というよりも家族的な空間になっていたように思います。
この前、アルバム「RAY」についてた書いたように、藤原くんの歌詞は私たちの矛盾を共有してくれます。それは弱さへの慰めなどというものではなく、ある意味矛盾を抱えながらも、答えが出ないことが分かっていながらも生き続ける私たちの強さへの讃歌となっています。
それを、ライヴでは、実際に目の前にいる観客のために、非常に丁寧に丁寧に歌いあげてくれる。献身的なというと変かもしれませんが、そういう愛情を感じさせる藤原くんの歌でありました。
もしかすると藤原くん一人では、そういう「優しさ」が私たちのところまで降りてこないかもしれない。そこがこのバンドの肝だなとも思いました。
つまり、他の3人の「普通」さによって、藤原くんの「天才」性が際立つかと思うとそういう訳ではなく、逆に私たちにとって身近なものとなる。
きっと彼らは(特に藤原くんは)それをよく理解しているのでしょう。たとえば彼がソロになったら、彼は一気に私たちから遠い存在になってしまうことでしょう。
そういう意味で、他の3人が「天才」でなかったことが、BUMPをBUMPたらしめているとも言えます。いや、ホント、これが藤原くんのソロのステージだったら、けっこう耐えられないかもなと思ったのです。
さて、そんな彼らのバンド・サウンドについて。エコパは正直音響のよくない会場です。あれが限界だったのかもしれませんが、なんとなくゴミゴミした分解能の低いサウンドだったのは残念(ちなみに席はステージすぐ左のスタンド上方)。
ただ、そんな中でも、ライヴならではの音のバランスと視覚効果で、藤原くんのヴォーカルだけでなく、楽器音にも意識が向かい面白かった。なるほど冷静に考えれば当たり前ですが、彼らは非常にスタンダードでシンプルなギター・バンドですね。彼らのギター・アレンジはなかなかよく出来ている。リフやフレーズのセンスはなかなかのものです。ベースやドラムスを含めて、CDだとよく聞こえない部分が聞こえて面白かったし、関心しました。
ところで、ライヴを通じて何度かメンバーから「お前ら」という言葉を聞いたのですが、彼らってそういう言葉使いましたっけ(笑)。私の勝手なイメージかもしれないけれど、「優しさ」の中でなんだか違和感があったのですが。デレツンというか(笑)。
さて、ここからはちょっとした苦言を。もちろん、これはロックおやじであるワタクシの個人的な意見に過ぎませんが、誰かが言わないといけないとも思うのであえて。
あのザイロバンドはやめた方がいいですね。最近の流行りなのかしりませんが、ああやってライヴに強制的に参加させられるのは非常に不快です。
これはBUMPだけでなく、最近の日本のバンドのライヴに共通していますけれども、とにかく、オーディエンスを型にはめるのはやめてもらいたい。
特にですねえ、これは本当に本当にイヤだし、センスがないと思うのは、(ザイロバンドをした)片手を振り上げて「1拍目」と「3拍目」で振ることです。
言うまでもなく、ロックは「裏打ち」の音楽です。もちろん楽曲によっていろいろですが、基本強拍を感じるのは「2拍目」と「4拍目」です。簡単に言えば升くんがスネアを叩くタイミングで力をこめるべきです。分かりますよね。
それが会場の皆さん、自然にではなく(そう信じたい)、ほとんど強制的に「表打ち」させられてしまう。気持ち悪いことこの上ありません。
私は当然、そんなことはせず、場合によっては目をつぶって感じるままに体を動かしていましたが、きっと周りの方々からすると、みんなに合わせない勝手なオヤジに見えたことでしょう(苦笑)。
もともと日本人は「裏打ち」が苦手な民族です。だから非常に日本的な風景であるのは事実です。
しかしなあ、せっかくヒロくんがブルージーなソロを弾いているのに、ああいうリズムの取り方するのはどうでしょう。民謡の演奏会や応援団(すなわち軍歌)ではないのですから。
というか、チャマの頭の動き(リズムの取り方)と聴衆の腕の動きがことごとく逆になっていたのは、もうなんというか、逆に感動というか(笑)。ぜひ、DVDなどでお確かめ下さい。
それから、これは静岡の皆さんがおとなしいというか、おっとりしているからか、拍手が淡白で、なんとなく沈黙の時間ができてしまっていたのはライヴの場としては残念。歓声や掛け声が少ないのはBUMPのファンの特徴ですけれど。
アンコールを4曲もやってくれたのは、そういう意味で「終われない」雰囲気だったのでは(苦笑)。
と、なんかいやな言い方になってしまいましたが、同じような違和感を抱く方もいらっしゃると思いますので(実際一緒に行った姉もそう感じるとのこと)、あえて申し上げておきます。
全体としてはもちろん非常に楽しく充実感のあるライヴでした。メンバーには心からありがとうと言いたいと思います。
そして、ライヴ終了後、ポールの公演が中止になったことを知りました。はたして、明日、私はポールに会えるのか。ロックのルーツの一つに出会えるのでしょうか。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- ラモー 『優雅なインドの国々より未開人の踊り』(2024.08.12)
- ロベルタ・マメーリ『ラウンドМ〜モンテヴェルディ・ミーツ・ジャズ』(2024.07.23)
- まなびの杜(富士河口湖町)(2024.07.21)
- リンダ・キャリエール 『リンダ・キャリエール』(2024.07.20)
- グラウプナーのシャコンヌニ長調(2024.07.19)
コメント