『政治の急所』 飯島勲 (文春新書)
北朝鮮問題やウクライナ問題など、日本の外交力が試されている今日このごろ。
私にとっては特に拉致問題が気になります。何度か書いているように、私は幼い頃横田めぐみさんと遊んだ(であろう…記憶がないので)仲です。同い年で同じ寮に住んでいました(すなわち父親どうしが同業者)。
おととし、45年ぶりに横田めぐみさんのご両親にお会いし、いろいろとお話させていただきました。めぐみさんは生きている、あまりに重要な情報を持っているために帰ってこれない、安倍政権になったら必ず動きがある、などの点で意見の一致を見ました。
その後実際に安倍政権になり、今回のモンゴルでのことなども含めて、かなり大きな動きがあります。おそらくはこの夏までにさらに画期的な進展があるでしょう(期待もこめて)。
この北朝鮮との水面下の交渉において、飯島勲さんの果たしている役割は実に大きい。
水面下と言っても、あの風貌ですし(笑)、こうして週刊誌にバンバン情報を流すので、ある意味目立っていますよね。
この「目立つ」のも、実は一つのインテリジェンス戦略です。私たち庶民が知っている、つまり見聞きしている情報というのは、あくまで表向きのものです。ニュースや書籍で語られているものをいくら知っても、実は本質には近づけないどころか、だんだん遠ざかってしまうようにできていたりするものです。
私のこのブログも実はそういう戦略的な情報発信基地です。いや、あんたのブログなんか、なんの影響力もないよと言われそうですが、なんとなんと公安のチェック対象になっているそうです(と、これまた本当かウソか分からないことを書いて公安を牽制する…笑)。
ま、こういうのを「インテリジェンス」(「知性」という意味ではなく「諜報・情報リテラシー」の意味)と言うのですね。
そういう意味で、この本における「インテリジェンス」も見事ですね。表向きの情報でありながら、時々裏側も垣間見せる。当然、その裏側は見せてもいい所のチラ見せです。
ご自身のテレビ出演や雑誌投稿などもチラ見せなんですよね。裏側を表にちょこっと出すのは、実は表側向けのサービスではなくて、裏に対するメッセージなのです。裏と表を使い分けるだけでなく、組み合わせて両方を動かす。飯島さん、そこがうまい。
今日もちょうど飯島さんのプーチンとオバマ、日本はどっちにつくべきかという記事が公開されていました。
これなんかも、我々庶民は「ふむふむ」と読みますが、実は安倍政権としての米ロに対する非公式メッセージになっているわけです。そうして読むと、両者にずいぶん気を遣って言葉を選んでいるが分かりますよね。
ところで、米ロの間に挟まれた安倍さんはどうすればいいかですが、これは実に簡単と言えば簡単です。少なくともこの状況はピンチではなくチャンスです。
というのは、いくら外交が「インテリジェンス」の戦いの場であると言っても、最終決断は案外「人柄」「人情」がものを言うからです。
政治的言語でガチガチに組み合っておいて、ふと耳元でささやく。それも作為ある言葉でなくて、自分を空っぽにした大きな器を用意してあげると、そこにすーっと相手が入ってくることがあるんですね。
案外歴史というのはそうして動いてきました。究極の言霊ですね。政治的言語で一触即発になっている時ほど、その言霊の力は強力に働きます。
おそらくは飯島さんは、そうした両刀をうまく組み合わせて使える達人なのでしょう。
荒魂と和魂、どちらか一方だけではダメなんです。基本、荒魂が導く和魂でなくてはならない。
これからの飯島さんの表裏両面でのご活躍に期待します。
まあ、それにしてもこの本の第三章「民主党政権失敗の研究」はなんとも情けないというか不快というか不甲斐ないというか…いや、もちろん民主党政権がですよ。読んでいて脱力しますね。
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