ジャズ三昧(足し算と引き算)
今日はジャズ三昧の日々でした。とは言っても、ちょっと特別なライヴのはしご。
まずはウチの娘も所属している我が校のジャズバンド部と、社会人バンド Tokyo F.O. Lab Band とのジョイント・ライヴ。
新入生にとっては初めてのステージ。中1、あるいは高1で初めてジャズの世界に足を踏み入れる彼らは、実に初々しい。
先輩たちの堂に入った貫禄の演奏に憧れつつ、なんとも緊張した面持ちで一生懸命音を出す彼らも、1年後、2年後には立派なジャズ・プレイヤーになっていくのでしょうね。
彼らはしばらくは「足し算」の期間。そういう意味で、ラテン系(?)社会人バンドとの共演というのもまた面白かった。技術的には「足し算」された大人の方がうまいのが当たり前。しかし、彼ら自身が言うとおり、「学生時代の純粋さ」が欠けるのも事実。その対比が面白い。
ある意味、あのジェネレーションの社会人ビッグバンドはちょうどいいかもしれませんね。だいたい大学生のジャズは「足し算」の極みみたいになって、実につまらなくなってしまうのですが、社会人になるといい意味で力が抜けて(仕事が忙しくて?)、絶妙な「引き算」が始まるのです。
音楽にはそれぞれのジェネレーションごとの魅力というのがありますが、特にジャズというジャンルはその特徴が現れやすいと感じます。
足し算が始まった時期もいい、足し算が極まっている時期は、私はあまり好きではないけれども、たとえばコンペなんかで自分たちは盛り上がる。そして、社会人になると枯れ始めて(笑)いい感じになってくる。
ジャズだとそういうグラデーションが際立つのか、いつも考えていますけれども、なかなか答えは出ません。まあ、理屈で考えてもしかたないのでしょうが。まさに、理屈を超えた変幻自在さ、多様性こそがジャズの面白みでありましょう。
あっそうそう、ウチのジャズバンド部、人気ジャズまんが「ブルー・ジャイアント」に登場してるんですよ。
定禅寺ジャズでのシーン。学校名は「山梨山高校」なんていう謎の名前になってますが、どう見てもウチの学校。そして、よく見ると一人ひとりもまんまの描写です(ウチの娘も「らしく」描かれています)。というか、写真を撮ってきてそれを絵にするなんていうのは、まあ普通のことですね。
もちろん何か連絡があったわけでもなかったので、偶然誰かが見つけたらしい。勝手に!…なんて思いません。なんとも名誉なことですね。学生ビッグバンドとしてはたしかに日本一の知名度でしょう。
さてさて、若々しさ&プチ熟練のビッグバンドを聴いたあと、夜は山梨市の養老酒造さんという酒蔵でスペシャルなジャズを聴きました。
もう30年来のおつきあいになる、作・編曲家、ジャズ・ピアニスト、ヴァイオリニストである黒川均さんに誘われ、彼のアレンジによる「モダン・ジャズ」を鑑賞。
モダン・ジャズと言っても、なんと弦楽四重奏による演奏。ピアソラを中心としたプログラムです。
いやあ、実に面白かった。弦楽四重奏によるモダン・ジャズなんて、まあ黒川さんくらいしかやりませんよね。
なんちゃって弦楽四重奏ジャズはありますよ、いくらでも。でも、ここまで本格的にアレンジされたものは、たしかに私も初めて聴きました。
養老酒造さんのおいしい日本酒にほろ酔い気分の黒川さんの隣で、アレンジャー本人の解説(?)を聞きながらという、ある意味ぜいたくなライヴ体験。
たしかにこのアレンジはクラシック畑の演奏家にはきついわ。実際、プロ中のプロでもお手上げになる譜面らしい。慣れない和声、リズム、そしてアンサンブルのツボ…若いアマチュアの演奏家たち、本当によくやっていました。私じゃ絶対無理。
彼の話、いろいろ面白かったなあ。昨日の石川さゆりと千住博の話にも通じるところがあった。
まず、作編曲家としては、実際音になってみると「ああ、これは無駄な音だったな」ということが多いとのこと。やはり、表現者として「引き算」は難しい。余白というか空間というか、ジャズは特にそこを重視しますよね。
しかし、創造の入り口にあっては、常に10代、20代くらいの意識の若さが必要だとのこと。そうしないと、絶対にアイデアが湧いてこない。若々しいチャレンジ精神、そして昨日の自分を超えようとするエネルギーがないと創造者にはなれない。
しかし、出てきたアイデアを全て盛り込むと、それこそ若気の至りに陥ってしまう。引き算ができてこそ、熟達の職人になれるのでしょうね。あらゆる分野に共通することでしょう。
というわけで、ジャズというジャンルはいいなあと、つくづく感じた一日でした。自分が演奏できないのが実に悔しいとも言えますが…足し算してないので、引き算も当然できるわけなく(苦笑)。
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