昭和の日にちなんで
今日は「昭和の日」でした。言うまでもなく、昭和63年までは「天皇誕生日」。そして、平成元年から18年までは「みどりの日」。
今では「みどりの日」は5月4日に移動しましたね。そのへんの事情がなんとなくぼんやりしているので、記憶が混乱している方も多いのではないでしょうか。
ここにはいろいろと面倒な問題が内在しています。まさに「昭和の残滓」とも言うべきイデオロギーの対立があるとも言えましょう。
ほとんどの国民にとっては、そんなことはどうでもいい…ではなくて、ほとんど意識されていません。もちろんそれはそれで構わないのですが。
今日は62年前の4月29日について書きたいと思います。
62年前、すなわち昭和27年(1952年)の天皇誕生日。昭和天皇のお誕生日を祝い、家の門口に日の丸が掲げられました。
今ではある意味普通の光景かもしれません。そのような家があっても別になんの不思議もありませんね。祝日に国旗を揚げる家庭が減っている状況ではありますが(ウチも掲げません)。
しかし実は、62年前の国旗掲揚は大きな意味を持っていたのです。
そう、昭和27年4月28日、すなわち天皇誕生日の前日は、サンフランシスコ講和条約が発効し、7年ぶりに日本が主権を回復した日だったのです。
すなわち、アメリカの占領支配から表面上は脱し、日本国として国際社会に復帰した日だったわけです。そして、国際法上、日本と他国との戦争状態は完全に終結しました。やっと戦争が終わったということですね。
その翌日が天皇誕生日であったのは偶然ではありません。日本側としてもアメリカ側としても、この4月28日を期限として講和条約の発効等を目指しました。そのへんの詳しい事情については専門書に譲ります。
で、戦争が集結し、日本という国が復活した翌日の天皇誕生日、7年ぶりに国旗日の丸(日章旗)の掲揚が正式に許され、そして国家君が代を歌うことが許されました。
GHQは終戦の日以降すぐに国旗掲揚、国歌斉唱を禁止しましたが、実際にはその後徐々に特例を認めていきました(たとえば戦後すぐの天皇の行幸の際にもみんな日の丸を振っていますよね)。しかし、なんの縛りもなく堂々と国旗掲揚、国歌斉唱ができるようになったのは、62年前の天皇誕生日からだったのです。
と、今「なんの縛りもなく」と書きましけれども、ご存知のように、実際には日本国内から根強い(しつこい?)日の丸・君が代に対する反対が生まれ始めたのも、実はこの日からと言ってもいいかもしれません。なんとも皮肉なことではありますが…。
ところで、去年は4月28日に主権回復記念式典が政府主催で行われ、いろいろ物議を醸しましたね。今年は式典は見送りになりました。沖縄の問題をはじめとして、相変わらず昭和の残滓…いや残影が残っているなと実感させられます。
まあそれほどに「昭和」は濃い時代だったのでしょう。日の丸・君が代賛成派も反対派も、結局のところノスタルジーに浸っているようにも感じますね。つまり、いろいろ偉そうなことを語っても、あくまで個人的な思い出のレベルでの言説にすぎないということです。
そろそろ、そういう意味での「個人」を乗り超える時代になっていると思うのですが。
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