『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』 青山通 (アルテスパブリッシング)
もう1年ほど前に出て評判になった本ですが、やっぱり読まずにいられず買ってしまいました。
で、読んでみると、やっぱり予想通りの内容と展開でしたので、あっという間に読了。
まあ私たち世代にとっては、もうこれはどうにも忘れられない名シーンの数々、そして音楽の数々ですよね。
たしかに私にとっても、初めて「音楽」に出会ったのは、このウルトラセブンだったかもしれません。決してお子様向けではない、非常に格調高い、クラシカルな音楽ばかりでしたからね。
細かいことをいろいろ言えば、それこそ私も一冊本が書けてしまうと思いますよ。ただ一点についてだけ言うなら、やはりオープニングテーマでしょう。
冒頭の荘重なイントロと分散和音的「セブン」と法螺貝のようなホルンはまあ皆さんの印象に残っていると思いますので割愛するとして、なんと言っても歌が始まって「は〜るかな星が〜」の部分の下降音階的ベースラインでしょう!いや、その後のランニング&ストッピングベースが素晴らしい。
幼少期の私は、これにすっかりやられてしまったのです(笑)。そして、今でも私の「通奏低音」観を支配しております。
ちょっとベースを聴いてみてください。
今聴くと、バロック的であるとともに、ポール・マッカートニー的ですよね。つまり、ポールのベースは通奏低音なのです!
さて、いよいよこの本の本題である、あの最終回です。ちょうどこの本で分析されている部分が動画としてアップされていますので、ぜひどうぞ。
シューマンのピアノ協奏曲ですね〜。音楽のみならず、ストーリー、テーマ、セリフ、演技、演出、映像…全ての面において私の基礎になっています。
シューマンを使った経過や意図については、この本をぜひお読み下さい。
実はこのセブン最終回、10年ほど前、高校の授業で使っていました(笑)。あの頃の高校生は、なんか気恥ずかしいのか、あのジャン!とシューマンが始まってシルエットになるところで、みんなドッと笑ってました。私としては泣くシーンなのに(苦笑)。
今度中学生にも見せてみようかな。
とにかく、ウルトラセブン世代、それからその世代でクラシックファンの方には、いろいろと共感できるものがある本ですので、ぜひどうぞ。
著者がリパッティに到達するまでの、あの感じ、今のような過剰な情報化時代にはありえませんよね。一方で、目的とするところに直接行けてしまうがために、いわゆるセレンディピティがなくなってしまったことに、なんとなく寂しさをおぼえるのでありました。
Amazon ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた
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