色=空 , 空=色(その1)
昨日のBUMPとミクの話の続きになります。ジャンル違いのように思えますが、まあ読んでみてください。
今日はあるお寺で座禅をしました。その時、ふと降りてきたことがありましたので、忘れないために書いておきます。
般若心経の有名な一節「色不異空、空不異色、色即是空、空即是色」に関することです(もちろんこれはワタクシ流の直観的な解釈なので、なんの信憑性もありません)。
たしかにこの一節は般若心経の真髄の部分であり、また仏教の真髄と言ってもいいものであり、今までもたくさんの解釈がされてきました。
私もいろいろな本を読んで、なんとなく理屈では理解したような気になっていましたけれど、実はなんかしっくり来ない、腑に落ちないと思っていたんです。
私の浅知恵を披露してしまい恥ずかしいのですが、まあ簡単に言えば「色不異空・色即是空」の「私たちの感覚や想念(から生じる執着や煩悩)は実在しない空しいものである」ということは理解できても、その逆「空不異色・空即是色」はなんだか分かったような分からないような…という感じだったのです。
それがストンと落ちてきた。
「色」と「空」を入れ替えて繰り返しているということの意味が分かった。あえて入れ替えたのは、言葉の限界を超えるためではないかと。
言葉(文)というのはどうしても時間の前後関係というのができてしまう。縦書きなら上から順に読んでいくわけですし、脳内の理解のしかたにも順序ができてしまう。たとえば「色不異空」と読むと「ああ、色は空と異ならないのだな」というように。
当たり前ではありますが、これは言葉(文・文章)の決定的な欠陥です。なぜなら、同時に起きていることを同時に表現し、相手にも同時に感得させることができないからです。
これが絵画や写真では可能となります。部分部分の認知にはタイムラグがあるではないかという考え方も可能ですが、表現としては同時性が保証されますね。
時間の前後関係があるということは、そこに「主語・述語の関係」や「因果関係」が想定されてしまいます。「色不異空」なら「色」が主語となり、「空」が述語となってしまう。また、「色即是空」なら「色」があるから「空」があるというような感じにも捉えられてしまう。
そうした言語の限界を超えて「同時性」
や「等価性」を表現するために、あえて「色不異空、空不異色、色即是空、空即是色」と入れ替え繰り返しをしたのではないかと思ったのです。
ということは、どういうことか。つまり、「色」と「空」が全く同時に存在している、現象しているということです。
「色=空 , 空=色」
そうなんです。数学の等式なら入れ替えが可能ですよね。つまり両辺が完全に等価(同時)であることを表現できます。
しかし、数学ではなく漢文で表現しなくてはならないので、入れ替えて繰り返したわけです。
では「色=空 , 空=色」とはどういうことかというと、今までのような「色は実は空である」というようなことではなく、う〜ん、それこそ文章で説明するのは難しいけれど、私の直観的なイメージとしてはですね、「空」が「うつ」なんですね。
もっと分かりやすく言うと「器」。空っぽの器に「色」が注ぎ込まれている、あるいは盛られている状態とでも言いましょうか。
結局前後関係、因果関係で表現するしかないのですが、「器」がないと「中身」を盛ることができない、逆に「器」があると「中身」が自然に入ってくるという感じです。
すなわち、中身がそこにあるということは器を前提としているし、器がそこにあるということは結果として中身が盛られる。器がなければ中身もないし、中身がないということは器もないと。
ほら、結局言語の落とし穴にはまってしまう(苦笑)。前提とか言ってるし。難しいけれど、とにかく全ての現象や感覚には、同時に「器」の存在を認めなければならないということですね。
では、これがなぜ、昨日のBUMPやミクにつながっていくのか。そして、今日の自分の座禅とどう関係しているのか…。
ちょっと長くなりそうなので、続きは明日付けの記事に書きましょう。
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