「志」とは
今日は妄想実現党党首として(笑)、「志(こころざし)」について語ろうと思います。
皆さんは日常の中で「志」という言葉を使いますでしょうか。おそらく昔の(戦前の)日本人と比べるとやや使用頻度が下がっているのではないでしょうか。
私の職場である学校でも、「志を持て」などというのが、なんとなく恥ずかしいというか、ちょっと大げさな感じがしてしまうのも事実であります。
日常で「志」という文字を目にする機会としては、たとえば香典返しに印刷されていたりしますよね。しかし、なぜそれを「こころざし」と言うのかとなるとなかなか説明が難しい。
実はこのような謝意、あるいは弔意を表す意味での「こころざし」は、源氏物語にも見つけることができます。もちろん、将来へ向けての夢や目標という意味での「こころざし」も源氏物語に出てきます。いや、それ以前に記紀にも出てきますから、かなり古い日本語と言えますね。
それらを総合してみますと、やはり「心が指す」という原義があることがわかります。心の指す方向、心の行くべき方向というイメージです。
ちなみに「志」という漢字、この外見をもって「武士の心」などと説明される時もありますけれども、「心」の上の「士」は同音の「之」が変形したものと言われていますから、実は「心の之(ゆ)くところ」という意味があるんですよ。
だからこそ、日本語で「こころざし」と訓まれることになったのでしょう。
では、「心」はどこに向かって「ゆく」のでしょうか。どこを「さす」のでしょうか。
これが今日のテーマです。
「さす」という日本語も太古から使われている基本語です。漢字が輸入された時、いろいろな字が当てられました。
刺・螫・挿・注・点・鎖・差・指・射
ご覧になって分かるとおり、いずれもある対象(他者)に向かってそれに近づく運動をしています。それも基本的に「前」に向かって行う運動です。言わば進行方向にエネルギーをこめる感じ。
ですから、「こころざす」というと、心をある対象へ向けて、目標の一点に思いのエネルギーをこめるという意味になります。
それが、将来の目標である場合もあるし、謝意や弔意や恋慕の念であるわけです。
いずれにせよ、一点に心をこめるということをしないと「志」はありえません。
ここで、ワタクシ流の「志」観を紹介しましょう。
先ほど書いたように「さす」という言葉には、こちらから相手に向かって近づく、ある意味相手の流れに抵抗するようなイメージもあるわけです。「水を差す」わけですね。
「志」に関しても同じです。ある意味相手の「流れ」に逆らう。
私にとっての「相手」とは「時」です。そして私にとっての「時の流れ」はいつも書いているように、「未来から過去に向かって流れている」のです(おそらく人と逆です)。
その流れに抵抗するということは、上流である「未来」に向けて動くということです。心を「未来」に向けるのです。
ま、漱石が言うように、楽しようとして「流れに棹さす」と流されてしまうこともあるわけですが(笑)。
つまりですね、ワタクシにとっての「志」とは、「未来」に向けての「妄想」にほかなりません。
実際そういう意味では、私は人よりかなり「志」を持っていると思います。かなり具体的な妄想がありますからね。
少なくとも、心の行く先は、過去ではなく未来です。皆さんも、今自分の心がどこを指しているのか、どこに之こうとしているのか、そんなことを確かめてみてはいかがでしょうか。
そうそう、同志である出口光さんを中心に、今「志教育」の実現に向けての大きな動きがあります。首相官邸の教育再生実行会議に提案として紹介されていますので、こちらからご覧ください。ウチの学校での事例も紹介されています。
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