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2014.03.26

『日本人“魂”の起源』 上田正昭 (情報センター出版局)

20140327_112946_2 口王仁三郎とも非常に縁の深い、小幡神社宮司にして京都大学名誉教授の上田正昭さんによる「魂(たま)」論。
 非常にユニークな論が展開されていると感じました。
 神話とは何かに始まり、記紀の比較から神話の重層性を語り、その中でまた「魂(たま)」についてそのルーツを探っていきます。
 なるほど、「たましひ」の「しひ」の部分を「めしひ(盲)」の「しひ」と同じように「衰微する」と解釈したものには初めて出会いましたね。
 そこから生まれる「鎮魂」論も面白い。1ヶ月くらい前に紹介した戸矢学さんの「ニギハヤヒ」で語られた鎮魂論のように、ただ「鎮める」というのが目的ではないと。「たましづめ」よりも「たまふり」の方が原点であると。
 たしかに衰微した「たま」すなわち「たましひ」を、「たまふり」によって本来の形に鎮めるという意味での「鎮魂」というのはありえますね。
 最近私も続けて書いてきた「器(空)」論にもあてはまりますし、私独自の「国譲り」論にもつながりそうです。
 そうそう、修学旅行中、京都の本屋さんに寄って何冊か本を買ったのですが、そのうちの一冊が上田先生による「大和魂」の再発見 〔日本と東アジアの共生〕です。
 この「日本人の“魂”の起源」の最後にも触れられている「大和魂」論。源氏物語乙女の「才を本としてこそ、やまとたましひの世に用ひらるる方も強う侍らめ」を取り上げ、漢才と大和魂を対比的ではなく、相互補完的なものとしてとらえています。
 これもまた私の「国譲り論」に重なってきます。譲ったように見せて…というやつです。
 とにかく上田先生の本は、系統的、そして総括的で素人にも分かりやすい。「です・ます」調のその文体も手伝って決して堅苦しくない。
 しかし、一方で中身が濃いのですらすらと読み進めることはできませんでした。時々情報を整理し、神々の系譜などをおさらいしながらでないと、私のような者にはちょっと厳しい。つまり、勉強になるという感じですね。勉強しながら読む、読みながら勉強するという感じです。
 現代の日本は「和魂漢才」「和魂洋才」どころかすっかり「洋魂洋才」になってしまったと嘆く上田先生。
 今こそ「和魂」、つまり「にぎみたま」の復権の時なのかもしれません。私も日本人としてじっくり「和魂」向い合って生きていきたいと思います。

Amazon 日本人“魂”の起源

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