『二ギハヤヒ』 戸矢学 (河出書房新社)
『先代旧事本紀』から探る物部氏の祖神
ニギハヤヒ…謎の多い神様です。それだけに古代史ファンには人気です。
私はつい最近まで、それほど興味を持っていませんでした。しかし、どうも最近気になってしかたないんですよね。
そこで何冊か関係書を買って読んでいます。一番最初に読んだのが、谷川健一さんの「白鳥伝説」でした。記事にも書いたように、これは知識の不足している私にはちょっと厳しい本でした。おそらく今読むともう少し理解が深まるかもしれません。
ただ、あの本を読んでから、甲斐国白鳥神社を発見(?)したり、物部と安倍にまつわるご縁がいろいろと深まったたり、また、仲小路彰の神話解釈に触れるなどして、なんとなく自分の中にあるイメージが浮かんできているのでした。
まだ、それをはっきりは表現できませんが、ものすごく簡単に言うと、出雲系(大国主・大物主系)、あるいはニギハヤヒ系(長髄彦系)が、天照系(神武・日本武系)に「国譲り」した、すなわち縄文が弥生に表面的には征服されたように見えるが、実際にはその中心的精神である「和魂(にぎみたま)」が温存・継承されることになったと。
それが、のちの蘇我氏による物部討伐、そして聖徳太子の十七条憲法による「和」の継承につながったり、とにかく一つの「国譲り」の雛型が日本では繰り返されながら、その「和魂」が生き続けてきたということになります。
私の極論によると、たとえば先の敗戦とアメリカによる統治、さらには日本国憲法にもその理論というか手法というか知恵というかが継承されています。
昨日の「変わり続けることによって変わらない」「動いているから動じない」、あるいはソチ五輪における浅田真央選手による「負けて勝つ」にもつながりますよね。日本という国の本質はそこにあるのだと、最近強く思うわけであります。
そうそう、オリンピックと言えば、羽生結弦とニギハヤヒなんていう(トンデモな)記事も書きましたっけ。いや、案外人気でしたよ、この記事。
というわけで、ちっとも本の紹介になりませんね。こちらの戸矢さんの「ニギハヤヒ」論、とっても面白くスリリングで、読み物としては非常に楽しかった。
この戸矢説が正しいのかどうか、知識も思索も少ない私には全くわかりませんが、いろいろとインスパイアされたことは確かです。
ちょっと細かいことですが、たとえば全国に物部神社は十七しかなく、中でもニギハヤヒが祭神となっているは二社しかないとのこと。そして、その一つが山梨にある。石和の物部神社です。さっそく行ってみなくては。
笛吹市と言えば、御坂に美和神社がありますね。祭神は大物主です。やはり、甲斐の国は縄文の臭いが強いなと。
「美和」という字も、考えてみれば尊称美称に「和」ですね。どうも、私の最近のキーワードは「和(にぎ)」のようです。
もちろんそこには富士山や皇室とも関係の深い「ニニギ」も入ってきます。ニニギとニギハヤヒの関係も謎ですし。
勝者の歴史書には「征服」のように書かれますけれども、実際には「禅譲」だったのだと思います。そして、その「禅譲」の裏には縄文の生き残り&再生のプログラムが秘されている。
その秘されたモノが時々地下水脈から噴き出してくるのです。安倍総理も案外それなのかもしれません。和魂が表面化する時には荒魂となって見えるものですから。
そして今日は二・二六事件の日でしたね。
結局、この本の内容とは関係ない話に…いや、充分関係しているか。
あっそうそう、この本で初めて「鎮魂(帰神)」の本当の意味がよく分かりました。それだけでも大収穫。
Amazon ニギハヤヒ
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