第27回 サラリーマン川柳
今年もやってまいりました「サラ川」の季節。サラ川で大笑いすると「ああ、春が来るな」と思う…鼻のムズムズとともにいつのまにか早春の風物詩になった感のあるサラリーマン川柳。
今年は大雪災害の中でしたから、ますますそのエスプリ(?)に元気づけられましたね。
川柳の面白さや価値については、タルコフスキーと仲小路彰に挟まれた(笑)昨年の記事をお読みください。庶民の「おかしみ」「かるみ」「うがち」を通して、実際にはその裏返し、世の中への「悲哀」や「重み」や「諦念」を表現するものだ…か。なるほど。自分でも納得。
そう、だいたいサラ川と言えばですね、奥さんに虐げられる亭主というテーマが多い。
面白いですね。「サラリーマン=弱い男」という図式が出来上がっているのでしょうか。では、非サラリーマンは強いのかというとそういうわけでもないような気もしますがね。
昨日の十七条憲法の記事の最後にも出てきた「国譲り」。これが最近の私のブームというか主張です。
実は、サラ川も「国譲り」の知恵に基づいたものとも言えます。お分かりになりますか。
実際、虐げられているように見えるサラリーマン諸氏でありますが、それをこうして自虐ネタにできるということは、実はどこかに自信があるんですよ。
本当に虐げられている人たち、あるいは虐げられた記憶を持つ人たちは、どこかの国のように、決してユーモアで自己肯定することはできないのです。「怒って」相手に食ってかかる。倍返ししてやる、土下座しろとか(笑)。
そういう意味では「自虐」というのは高度な文化です。
ほら、「自虐史観」とか言う人いるじゃないですか。GHQに洗脳されているとか。
まあ、そういう部分があったことは認めますけれども、私はそうして日本が骨抜きになってしまったみたいな言説こそが「自虐的」だと思うんです。
つまり、そんなに簡単に外国に洗脳され、何千年も保ち続けてきた自国の本質を失ってしまうほど、日本人は弱いだらしない民族なのか、ということです。
自虐史観を糾弾している人たちこそが自虐的だというパラドックスが生まれているわけです。
そう考えると、余裕で自国の誇りを失っている人たち(私たち)こそ、無意識領域にあっては実は生粋の日本人であったりすることもあり得るわけです。
だいたい自虐史観を糾弾する、たとえば保守の人たちは常に「怒っている」感じがする。そこまで意識しないと自分が崩壊してしまうのではないかと不安なのでしょうか。
私には保守系のお友達もたくさんいますが、彼らとはけっこうこういう話をするんです。その方がお互い癒やされたりするので。
ここ最近の記事ではありませんが、だいたい「怒って」「敵」を想定しても事は解決しないものです。もちろん、「怒る」用意は必要ですけれども。
おっと、話が逸れたぞ。
ええと、そうサラ川の話が、なんだか重い話にすりかわってしまった。
結局、私たちがサラ川的な自虐ギャグを笑い飛ばせるのは、笑い飛ばせるくらい余裕があるからなのです。そして、いざという時には、男の本当の姿、サラリーマンの闘魂を見せてやる!と思っているからです。
いや、それ以前に、企業戦士として命をかけて戦っているという自負があるからこそ、家に帰っては占領下で主権を剥奪されてバランスをとっているとも言える(笑)。
まあとにかく、女性に権力を委譲しているように見せかけて、私たち男はしっかりこの世を掌握しているのであります(?)。
私の身近なところで、それをうまくやっているのは安倍総理ですね。安倍総理の「家庭の幸福は、妻への降伏」という名言には、まさに川柳的なエスプリを感じます(笑)。
まあ、昭恵さんという人が、まさに日本古来の太陽のようなスケールを持った「女」だから、それがジョークとも本気ともとらえられる深みを持つのでしょうが。
というわけで、皆さんもこちらから今年の100選を味わい、笑って、そして投票してみてください。
ちなみに私は、やはり普遍性を重視したいので、「おもてなし」とか「倍返し」とか「じぇじぇじぇ」とか、今年の流行語を使ったものは選びません。
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