UFOと宇宙人(その2)
昨日の記事が評判良かった(?)ので、今日も同じネタで書きます。
とは言えど、だいぶ趣は違いますね。こちらは江戸時代の日本のお話。
江戸時代にUFOが飛来して宇宙人が降り立った…としか思えないこの絵。ご存知の方も多いのでは。
そう、これはかの有名な曲亭馬琴(滝沢馬琴)の描いた絵図です。当時の怪異サロン「兎園会」「耽奇会」での話をまとめた「兎園小説」に『虚舟の蛮女』として収録されています。
オカルトブームはもちろん近代以降に始まったわけではなく、江戸時代、いやそれ以前にも花盛りでした。
考えてみれば、今ちょっと流行っている「竹取物語」なんかも、かなりオカルトしてますよね。
そうそう、去年だったか、アメリカの科学者(?)が、地球人は数万年前に地球に移住させられた「宇宙罪人」だなんていう珍説を唱えてましたが、かぐや姫も月で何やら悪さを働いて、地球に「島流し」になったんですよね。
ついでに言いますが、「竹取物語」って、あくまで「竹取の翁の物語」であって、かぐや姫が主人公じゃありませんよ。翁の煩悩とお茶目さがテーマです(笑)。いや、マジで。
ま、それはまたいつかゆっくり書くとして、とにかく、日本人に限らずわれわれ人類は常にオカルト好き、私の言い方をすれば「モノ」好きだったんですね。
そう、「モノ」とは、脳で概念化・言語化(コト化)されない「未知」「不随意」「未確認」な「何か」を指します。
「物好き」という言葉も、他人からすると理解できない領域だから「モノ」好きなわけです。
と、いつもながら話がいろいろ飛んでしまってますが、ええと、「うつろ舟」の話でしたね。
この江戸時代の「ムー」のようなお話については、こちらのサイトのシリーズがなかなか詳しく面白く考察してくれていて勉強になります。
古くは折口信夫や柳田國男が民俗学的に研究したり、比較的最近では、光瀬龍や澁澤龍彦、諸星大二郎といった大御所が「うつろ舟(と女)」を題材に作品を書いたりしています。興味のある方はぜひどうぞ。
私たちは成長とともに「モノ」を「コト」化して、自分の内的領域を増やしていきます。体験したり、勉強したり、読書したり。それが本能であり、生きるということそのものであったりしますね。
人類の進化もそれと同じです。科学の発展はその象徴ですよね。
江戸時代においては、まあ庶民レベルで言えば、外界は「異国」だったでしょう。江戸時代の人々の感覚と現代の私たちの感覚とを相似的に示せば次のようになる。
日本…世界(地球)
海…宇宙空間
異国…異星
異形の舟…UFO
異国人…宇宙人
なんとなくお分かりになりますよね。
そう考えると、いきなり宇宙規模で未確認飛行物体の登場する「竹取物語」は、かなりぶっ飛んでいたことが分かりますね。やっぱりあれは外国由来、それも海に面していない大陸部からの伝来なのでしょうか。
逆に未来のことを考えると、次の段階はどうなっていくのか気になりますね。すなわち、宇宙について我々がどんどん知識を身につけてしまって、その「モノ」性が薄れていったとすると、ドキドキワクワクがなくなってしまうじゃないですか。そうした時、はたして私たちはどこにオカルトを求めるのか。異界を求めるのか。
地球外生物ならぬ「宇宙外生物」とか?w
私たちが大人になる、あるいは人類が進化するというのは、なんとなく味気なくなることだとも言えますね。
いや、もうお分かりの方もいらっしゃるでしょうけれども、実はそうした「モノ」性は外界だけでなく、私たち自身の内側にも無限に広がっているのです。
もちろん今まで人類の歴史の中でも、そちら方向に「コト」化を目指した賢人たちがたくさんいますし、お釈迦様のように、内にも外にも「コト」化は意味がないと悟った方もいらっしゃいますよね。
私のなんとなくの勘としては、21世紀は「モノ」の時代だと思うのですね。無闇な「コト」化の時代は終焉を迎え、次なる生き方、進化の方向を目指す時が来ているのではないか。そんな気がしています。
それはまた「物語」の復権の時代でもあると思います。
UFOも宇宙人も、やはり私たちの中に存在する「物語」に違いありません。
Amazon うつろ舟―渋澤龍彦コレクション
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