『嘘だらけの日韓近現代史』 倉山満 (扶桑社新書)
冬休みに倉山さんの「嘘だらけの」シリーズを3冊読みました。順番としては、まず「日米」そして「日中」、最後にこの「日韓」でした。
どれも面白かったし、とにかく勉強になったのですが、ワタクシとしてはやはりこの「日韓」が一番刺激的だったかな(笑)。
まあとにかく最近の韓国における反日的な活動は目に余るものがありますね。その根底にあるものがなんなのか、この本を読めばだいたい分かるというものです。
いや、決して私も倉山さんも一方的に韓国を嫌ったり、ましては卑下したりしているわけではありませんよ。
どちらかというと同情の目で見ているというか…それもまた、先方にとっては気に入らないのでしょうが。
私は、古代朝鮮と日本との関係を独自にずいぶん調べてきましたし、実際、この富士北麓地方に残る文献や文化には、色濃く半島の影響が見て取れます。そういう意味でも私は(歴史を長い目で見た場合には)、どちらかというと朝鮮半島に興味を持っているどころか、感謝さえしている人間です。
私の奉職する高校の修学旅行の行き先は、もうずいぶん長いこと韓国です。姉妹校があるんですよね。
私も仕事で何回も韓国に行っています。ホームステイをしたり、させたり、かなり濃厚なお付き合いをさせていただいています。
その四半世紀近いお付き合いの中で、ずいぶんと日韓関係は変わってきたと実感しています。最初はそれこそ石が飛んできたり、日本語で罵倒されたりということも時々あったのですが、日韓共催ワールドカップの時などは、本当に友好ムードで実に楽しい旅行をさせていただきました。
その後、経済的に韓国が勢いづき、日本をも凌駕せんとする中でも、また両国の関係はいい方向に変わっていったと思います。
それがなぜ、今…。
まあ、私の長年の経験からくる実感としましてはですね、非常に単純なのですが、両国はいろいろな意味で近すぎるのだと感じます。近親憎悪ってやつですかね。
強烈な異論があるでしょうけれど、まあ中国が親だとすれば、日韓は兄弟。それも男の兄弟かなあ。韓国が兄で日本が弟としておきましょうか。
だいたい男の兄弟というのは、ライバル関係になったりする。本当に似ているのに、あえてキャラがかぶらないようにしたり、役割分担したりして、一見性格が正反対なように見えたりするじゃないですか。
兄はお父さんにやたら厳しくされ、しょっちゅうぶん殴られたりしていた。弟はうまいこと距離をとって要領よくやっていた。そうすると、まあ、いろいろなコンプレックスやジェラシーがお互いに湧いてきたたりするじゃないですか。
そう、実はこの正月、ある親戚からこれと似た話を聞いたんです。長男は父にずいぶん抑圧された。末弟はうまいこと「平泳ぎで」世渡りした。ただ、そんな長男に対して母は裏で優しくしていて、それを見た末弟はちょっと嫉妬していたと。
まあ、こんな感じでしょうかね。日本が韓国に嫉妬したかどうかは微妙ですが、いや、古代においては多少なりともあったかもしれませんね。
で、この本で取り上げられている近現代史となると、もう弟が兄の世話をするまでになっていて、兄もなんだかんだ弟を頼りにしているところがある。ある意味立場の逆転が起きているんですね。
そして、ここが肝心なのですけれども、倉山さんは韓国に対してもものすごく厳しいことを言うとともに、日本に対しても「甘すぎた」「人が良すぎた」とけっこう厳しい非難の言葉を浴びせているんですよね。
つまり、弟が威張りすぎたというよりも、兄に優しくしすぎたんですよ。そうすると、どうなるか分かりますよね。
同情するなら金をくれ!ではありませんが、兄は屈折した気分になりますよ。立場が逆転しただけでなく、必要以上に情けをかけられたら、さすがに兄としてのプライドに傷(火)がつきます。
特に、ある程度経済的にも独立できるようになって、弟をおびやかすくらいの力を持ったら。「あの時はありがとう」ではなく、「お前に世話になった覚えはない」とか「お前のせいで苦労した」とか「お前は失礼なヤツだ」とか、そんなふうになるのは明らかですよね。
倉山さんはもっと賢くシビアな目で日韓関係を見ていますが、とりあえず私はこんな感じに身近なところに引き寄せて考えないとどうも理解できないおバカなのです。
しかし、私の直観的な解釈もそれほど間違っていないのではと、この本を読んで強く思いました。
国家どうしの関係も結局は「人間関係」なんだなと。当たり前と言えば当たり前のことです。しかし、私の発想としてはですね、やはり個人を超えるためには、個人の集合体たる共同体が、いかにその個人性を超越するか、超越させるか、超越する思想…いや、「共同体感情」を持つか、が重要だと思うんですね。
少なくとも、国家を代表する人たちは「個人感情」を凌駕した「共同体感情」でことに臨んでいただきたい。そう思うのですよ。
その点、倉山さんのいろいろな言動は、ちょっと損しているところもあるかなと、ふと思ってしまったのでありました。
一度実際にお見かけしましたが、体も大きく、顔もいかついので(失礼)、せっかくのユーモアセンスが生きてないなと、おせっかいにも思いました(笑)。
もともとインパクトがある方なので、「我(個人)」が前に出過ぎる感じがある。おそらくはご自身の思っている以上に。
素晴らしいお仕事をされているからこそ、ちょっともったいないかなと。
ま、私は大好きですよ。次は最新刊の常識から疑え! 山川日本史 近現代史編 上 「アカ」でさえない「バカ」なカリスマ教科書を読んでみようと思います。すごいタイトルだな(笑)。きっとまた、あまりに正論すぎてドン引きしちゃうんでしょうね、私たちのようなピンクに染まった人たちは(苦笑)。
Amazon 嘘だらけの日韓近現代史
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- 富士山ラドン濃度急上昇と新島・神津島近海地震(2023.11.16)
- 追悼 大橋純子さん(2023.11.11)
- The Beatles 『Now and Then』(2023.11.02)
- 谷村新司 『群青』(2023.10.26)
- 二度目の天の岩戸開き(2023.10.18)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 帰ってきたウルトラマン 『第12話 怪獣シュガロンの復讐』(2023.12.08)
- 福岡のパワーの源は…(2023.12.01)
- 資源大国日本?(2023.11.27)
- 誓の御柱(四日市市諏訪公園)(2023.10.13)
- 忍者学!(2023.10.12)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『飄々と堂々と 田上明自伝』 田上明 (竹書房)(2023.12.07)
- ナイツ 『野球寿限無』(2023.11.15)
- 『松葉健康法』 高嶋雄三郎(2023.11.06)
- 廣松渉の「世界の共同主観的存在構造」(2023.10.25)
- 『本學ノスゝメ』出版 クラウドファンディング!(2023.10.06)
「心と体」カテゴリの記事
- 不動明王の愛の荒魂(2023.11.28)
- 寝る子は育つ・寝ない大人は横に育つ(柳沢正史先生「睡眠」を語る)(2023.11.08)
- 松葉ジュースを作る(2023.11.07)
- 『松葉健康法』 高嶋雄三郎(2023.11.06)
- 芸術は宗教の母なり(虹と紅葉と)(2023.10.29)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 帰ってきたウルトラマン 『第12話 怪獣シュガロンの復讐』(2023.12.08)
- 冬木透 『夕日に立つウルトラマン』(2023.12.09)
- 『飄々と堂々と 田上明自伝』 田上明 (竹書房)(2023.12.07)
- グレン・グールドの『バッハ フーガの技法』(2023.12.06)
- 『首』 北野武 脚本・監督・編集作品(2023.12.05)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- グレン・グールドの『バッハ フーガの技法』(2023.12.06)
- 『首』 北野武 脚本・監督・編集作品(2023.12.05)
- バッハ『フーガの技法』を見る(2023.12.04)
- 香椎宮にて(2023.12.03)
- 福岡のパワーの源は…(2023.12.01)
コメント