マスカーニ 『アヴェ・マリア』
いろいな学校行事が重なり忙しくしております。送り出し、受け入れる、そういう季節であります。
今日は特に大切な行事があり、その際、この曲をBGMとして使いました。
今日かけたのは器楽版、すなわち有名なオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲です。
カヴァレリア・ルスティカーナはマスカーニの出世作。若きマスカーニはこの(ある意味コテコテの)メロディーにかなりの自信があったようです。この旋律を活かすためにカヴァレリア・ルスティカーナというオペラを作ったと言ってもよい。
カヴァレリア・ルスティカーナは、まあイタリア・オペラらしいと言えばらしく、ドロドロの不倫劇であります(笑)。
そのドロドロのクライマックス付近で突如現れる「間奏曲」。
なるほど、その効果は非常に高いと言っていいでしょう。やはりイタリアは音楽の本場ですね。音楽が持っている聖俗を凌駕する力をうまく利用している。
たとえば、今日、この曲を利用したのは、本当に厳粛な場でありました。オリジナルのオペラの内容とは対照的な場と言っていいでしょう(結婚式でもかかるくらいですからね…笑)。
音楽というのは非常に面白いもので、人間がどっぷりと関わる作品全体が持つ俗性と、それを構成するピースの持つ本体を超えた聖性との不思議なバランスによって成り立っているのですね。
かの大バッハも世俗曲の一部をのちに宗教曲に書き換えたりしています。表面だけ見れば、えっ?いいの?というような場合もありますが、実際にはバッハ自身が音楽の本質をよく分かっていたからこそ、そういうことをしたのだと思います。
このカヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲も、のちに歌詞を与えられて「アヴェ・マリア」という宗教曲になりました。
もちろん、ドロドロの世俗オペラの「間奏曲」だからこそ浮かび上がる宗教性(実際教会のシーンです)という効果もあったのでしょうし、観客はそういうギャップをある意味楽しんでいいたのでしょうね。
というわけで、観客の期待どおりに「歌」に昇華したのが、この「アヴェ・マリア」であります。上の動画では名メッツォ・ソプラノのエリーナ・ガランチャの素晴らしい歌唱がお聴きいただけます。
ちなみに、彼女、今月無事第二子を出産されたそうです。ダンナさんは、指揮者のカレル・マーク・チチョン。結婚し母になることによって、ますますその芸を磨いているのではないでしょうか。
そう、音楽界ってものすごくドロドロしています。俗が聖を磨くという不思議な世界ですよ。あっ、私は全然ドロドロしてません。だからイマイチな演奏家なのであります(笑)。
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