NHKクローズアップ現代 『あふれる“ポエム”?! ~不透明な社会を覆うやさしいコトバ~』
今日のクローズアップ現代はかな〜り興味深かった(やばかった?)。
私の大嫌いな(笑)「ポエム」特集。居酒屋甲子園の異様な光景。歯の浮くような美しく優しい偽善的な言葉の数々…。
しかし、なぜか予想された不快感はあまりなく、逆にこれはありだなと思ってしまった。いったい、私にどんな変化があったのか…。
けっこう衝撃的だったんじゃないでしょうか。ツイッターにもかなり「気持ち悪い」「危ない」的な、全然ポエムじゃない言葉が並んでいました。
ご覧にならなかった方は、クローズアップ現代公式ホームページでテキスト化されるのを待ってください。
これって、私のライフワークに深く関わっている問題ですね。すなわち「言霊」問題。
いちおう国語の先生でもあるワタクシ、職場でもこの問題に常に直面しています。
特に中学校で教えるようになってからというもの、こうした「ポエム」が蔓延する教室に半ば嫌悪感を抱きながら、しかし、それがたしかに中学生を動かす有効な手段であることも認めざるを得ず、結果として自分も「ポエム」を利用することが(たまにですが)ある。
高校生(つまり反中二病の高二病患者)に対しては、ギャグとしてしか使わなかった「ポエム」言語を、こうして日常的に恥ずかしげもなく使うようになって、私自身も半ばポエマーになってしまったのか、いや、最近自らの中二病も重篤化する中で、自発的に「ポエム」の効用を認めるようになったのか。
たしかに最近の自分は、一般の方がドン引きするような「地球平和」なんていう言葉を堂々と真面目に連呼したり、ある種宗教的ともとらえられかねない場でボエム的な言霊を浴びることも多い。
そして、私は、その「言霊」が、そのポエム的な妄想を現実化することを体験的に学んでいるために、いつのまにかポエマーに成長(?)してしまったのかもしれません。
そんな私の「気持ち悪さ」から、だんだん縁の遠のいている方もいらっしゃる。それも分かりますが、現実問題として、私の体現力、自分だけでなく人を動かし、世の中を具体的に変えていくことに関しては、ある程度ポエマーになってからの方がずっとポテンシャルが上がりました。
しかし一方で、そうした「体現力」や「社会変革力」のないポエムに対しては、以前よりもいっそう嫌悪感を抱くようになっているとも言えるかもしれない。たとえばポエムとしての(笑)「脱原発」とか。
そう、「脱原発」なんかも、今日紹介されていたポエムと同様、なかなかそれ自体を否定しにくい雰囲気があるじゃないですか。現実の難しさを隠蔽しているという意味でも「雰囲気語」になりかねない。
ところで今、私は非常に大きな歴史的出来事に関わりつつあるのですが、そこで最初に問題となっているのは、シンボルマークのことです。
シンボルマークは、言語としてはポエムに近いところがあるかもしれない。しかし、いや、だからこそ、あのシンプルなシンボルマークには深い重い意味があり、未来を決定する「言霊力」が必要とされています。
今回は番組の内容にこれと同じようなことを感じましたね。つまり、シンプルな言葉、象徴的な言葉、普遍性を持つ言葉であるからこそ、その内容は本物でなければならない。「コト」を窮めて「モノ」に至るというような洗練がなければならない。
ポエムは「標語」でもありますから。そこから、それぞれがどう体現していくか。もちろん主体的に。そこが重要であります。
マークもポエムも標語も、ほかにもたとえば制服なども、それらは一つの「イコン」であり、それ自体が実体ではないけれども、しかし、あらゆる実体をも含み得る象徴性を持っていなければならない。
そう考えると、たとえば今回の番組の「ポエム」に対する好悪は、双方とも理解できるような気がしてきます。
体験者(当事者)にとっては、その言魂力は信ずるに値するでしょうし、傍観者にとっては「気持ちの悪い」言葉にすぎないのでしょう。
結局はそうした二極対立の構図であるかぎりは、たとえば戦後日本の不毛な右と左の確執のように、互いにとっても、そのポエム(言葉)自身にとっても、あまり幸福な状態にはならない。
そういう意味で、番組最後に小田嶋隆さんが安倍総理の「美しい日本」「日本を、取り戻す」に対して、5W1Hを要求したのは悪いことではないと思いました。はなから否定するのではなく、確認するわけですから。
あくまでも、イコンは入り口であって、その先には私たち自身の存在自身が広がっています。要はそこまでちゃんと行けるかどうかでしょうね。発する側も受け取る側も。
私もようやくバランスが取れてきたのかもしれませんね。先に進む力が身についてきたのでしょうか。
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