天皇陛下の傘寿を祝す…国譲りと憲法問題について
今日は天皇誕生日。陛下、八十歳になられ、ますますお元気で何よりです。
私はカミさんの英語教室のクリスマス発表会の練習に駆り出されておりました。こんな大切な日に異教の王の誕生を祝うとは何事だ…お叱りの声が自分の胸の中から聞こえてきそうですが、ご心配なく。
ウチのカミさんの英語教室は、英語を通じて日本人らしさを教えるという謎の秘密組織です(裏の名を English School「Conservative」というらしい)。当然、今日の発表会にあたっても「今日はどなたの誕生日とこころえる!」というところから始まっていました(笑)。
クリスマスを前にして、畏れ多くもやや存在感が薄くなっている、この世界最古の王家(国家)の今上天皇陛下のお誕生日でありますが、そこがまた実に日本的でもあるわけです。
ここのところ何度も書いているとおり、「国譲り」の精神こそが、本当の「和」の精神です。表面的なことにとらわれていてはいけません。
そういう意味で、今日の陛下の記者会見のお言葉には本当に心にしみるものがありました(記者会見の全文はこちらでお読みください)。
もしかすると「Conservative」(保守派)の方々には少々不本意に聞こえたかもしれませんが、特に日本国憲法について語られた部分は、本来の「国譲り」の精神の発露であると私には感じられました。
すなわち次の部分です。
『戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、さまざまな改革を行って、今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時のわが国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。また、当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います』
安倍総理は改憲に燃えているようですが、陛下は現行憲法を「守るべき大切なもの」と語りました。それ以前に日本国憲法を作ったその主体を「日本」としていらっしゃいますね。
また引用部分の最後の「知日派の米国人」に対する感謝の言葉も大きな意味があると思います。
私は表面的なことはともかくとして、深い部分では「憲法9条は昭和天皇のご発案」という意見に賛成する立場です。
一方で、国民の中から改憲論議が出てくるのはいいことだと思っています。現実的に国民投票ができるように手続き部分の改正はすべきだとも思っています。
ちょっと反発も食らいそうですけれども、今日の陛下のお言葉に力を得てあえて言いますと、私はたとえ国民投票をしても、現行憲法の主たる部分は変わらないと思っているのです。
だからこそ、どんどん論議が沸騰して、そしてちゃんとした手続きを経て、堂々と国民投票すればいいということです。
憲法改正反対の方々、特に左派の方々の意見をお聞きすると、とにかく自信がないように感じるのです。国民投票したら改憲派が勝ってしまうに違いないという恐怖心を持っているように見える。
いや、自分たちの意見が正しいと思うなら、正々堂々と勝負すればいいではないかと言うと黙ってしまう。
そんな時は、私はこう言うのです。「大丈夫ですよ。最後は天皇陛下の鶴の一声がありますから」と。
だから、私は安倍総理が憲法改正こそ自らの使命と考えて邁進することを是とします。そして、今日の陛下のお言葉をももちろん是とします。そのパランスでようやく「和」であると思うのです。
陛下と総理、はっきり申して勝負は決しています。
そこには言葉で表現しきれないモノが働いています。かの聖徳太子は自らの苦悩の末に「国譲り」の本質を直観しました。
現行憲法がアメリカに押し付けられたものであっても、日本語として不十分であっても、また内容が玉虫色であっても、実はそこにこそ本質が隠されているということを、陛下も苦悩の末に充分にご承知であるのです。
日本の精神は事細かに正確に科学的に「コト化」してはなりません。いや、コト化できません。
せいぜい十七条くらいでいいのです。
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