国際基督教大学(ICU)とは?
↓2009年11月
今日はクリスマス。
八百万の神々を信ずる者として、当然のごとくキリスト教文化にも親しんできた私ですが、やはりコトを窮めていくとモノに至るということでしょうかね、最近ではクリスマスというと「いよいよ日も伸び始めるなあ。新しい文明のスタートだ」というような感慨の方が大きい。
いや、案外そういう感覚の方がイエスの実感に近いのかもしれないなどと、それこそなんとなく直観的に思ったりするのです。
そういう態度や感慨を、コトにこだわる原理主義者たちは非常に忌み嫌いますね。クリスチャンに限らず。
さてさて、そんなクリスマスにちなんでというわけではありませんが、今日は午前中ICUの問題を解きました。面白い問題ですよ。日本的な大学入試とはえらくタイプが違います。
本校でもICU(国際基督教大学)は生徒の憧れの大学の一つです。単なる偏差値で測れない「本当に頭がいいヤツはICUに行く」的な都市伝説が、この田舎の学校にも伝播してきています。
今も一人教え子が通っていますが…ICUほどその本質が理解されていない大学もないでしょうね。というか、その存在を知らない人も多い。早稲田・慶応・上智は知っているけれども、それと偏差値ランクでは勝るとも劣らないICUのことは知らない、あるいはICUという呼称は知っているけれども、「国際基督教大学」と書かれると、えっ?そんな大学あるの?のような反応をする方も多い。
ICUの創立は1953年。非常に簡単に言いますと、敗戦後の日本において国家神道を排除し、そして、日本国民の総キリスト教信者化を果たすためのプログラムの一環として作られたのが、この国際基督教大学です。
ドイツ式の教育がなされてきた日本の大学界に、アメリカ式のリベラル教育を導入しようとしたわけですね。
これにはGHQの総司令官ダグラス・マッカーサーも大いに賛同しました。マッカーサー自身も敬虔なクリスチャンで、日本人全てがクリスチャンになることを心から願っていたようです。
ただし、マッカーサーは強制的に日本人をキリスト者にしようとしたわけではなかったようです。案外に東洋的な宗教観に共感しており、どちらかというと、自らの知っているキリスト教の思想と古神道や仏教の思想に共通点があるということに好機を見出していたようです。
つまり、「日本占領は、アジアの人々にキリスト教を拡めるための、キリストの生誕以来の、比類ない機会である」と真剣に思っていたのです。
その実現のために、ポケット聖書運動を展開したのは有名な話です。約一千万冊の聖書を全国津々浦々に無償配布しました。
日本人は喜んでその聖書を受け取ったと言います。
なぜなら、その聖書の神…いやいや、紙は非常に薄く、巻きたばこの巻紙として最適だったからです。1ページずつ破いて刻みタバコを包み、プカプカとやらかしたわけです。
まあ、そうやって日本人の肺に教えがこびりついたわけですから、もしかするとGHQの作戦は成功したのかもしれませんね(笑)。
ちなみに送り込まれた宣教師は約2500人。ザビエルの時代どころの話ではありませんね。キリスト教国アメリカは相当頑張りました。
国際基督教大学の方も、まあそこそこの入学者はキープされ、そして、現在のある種特別な地位を獲得して立派に存続しているわけですから、失敗とは言い切れません。
しかし、宣教師や聖書や大学が鳴り物入りでやってきた割には、実際のところキリスト教信者はほとんど増えませんでした。
やはり宗教以前の八百万の神信仰は強いですねえ。これもある意味「国譲り」の成果とも言えます。こうして、国民のほとんどがクリスマスで大騒ぎしていながら、ほとんどそれを宗教的な行事とは思っていません。恐るべし、日本人。
ICUに至っては、そう最近では眞子内親王殿下が入学されたじゃないですか。来春にはICUの大学院に進学されるとも。
これも日本の皇室がキリスト教に負けたわけでは全くなくて、逆でしょう。結局、キリスト教をも取り込んでしまっているわけです。実際、皇室内におけるキリスト教の歴史を調べると、そのへんの構造がよく分かりますよ。
というわけで、仏教校の先生である私は今日、ICUの問題を解き、続いて学習院の問題を解き、東大の問題を解きました。面白いですね。
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