谷川徹三による出口王仁三郎「耀わん」評
我が家でお預かりしている出口王仁三郎の耀わん「十和田」が元気です。
茶碗が元気とはどういうことかとお笑いになる方も多いでしょうね(笑)。しかし、事実として日本を世界を動かしているという感覚があります。お分かりになる方にはお分かりになるでしょう。
耀わんってなんだ?という方のために、私は何度かこのブログで紹介をしてきました。最近も、「耀盌(ようわん)王仁三郎の楽焼き」という動画を紹介しましたね。たとえば、この動画をご覧になれば、ただの茶碗ではないことだけはお分かりなると思います(唯物論的に言えばただの茶碗ですが)。
昨年の今頃には加藤唐九郎による出口王仁三郎「耀わん」評という記事を書きました。かのカリスマ陶芸家加藤唐九郎は耀わんをいかに捉えていたかの一端を紹介しました。
実はその後、大本の百二十年記念事業を担当されている方から御連絡をいただきまして、この記事の載った雑誌「目の眼」をお送りすることになりました。なんでも、この文章は大本の方々も存在を知らなかった(忘れていた)そうで、貴重な資料になるとのこと。
王仁三郎再評価に少しでも貢献できまして嬉しく思います。
さて、今日も一つ貴重な資料を紹介します。谷川徹三の耀わん評です。谷川徹三は言うまでもなく、日本を代表する哲学者。法政大学の総長でもあった方です。谷川俊太郎のお父さんですね。
実はここに載っている文章のうち「天国の美–耀盌–」という長文は、いくつかの他の書物にも引用されているものですから、それほどプレミア度は高くありません。しかし、この「蕾」という雑誌に載った記事の冒頭部分「耀盌 出口王仁三郎・出口直日の芸術」の小文は貴重かもしれません。
昭和50年12月1日発行となっていますから、ちょうど今から38年前ですね。季刊「蕾」は、今も刊行されている骨董の月刊誌「小さな蕾」の姉妹誌とのこと。結局、この季刊「蕾」は1年間5号までしか刊行されなかったようです。
私は古書店で見つけて購入しました。最初は耀わんが出ているとは思わなかった。背表紙に「井伏鱒二・谷川徹三・松本清張・安東次男・藤原審爾」とあったので、妙に惹かれて手にとった次第です。これもご縁ですね。
谷川徹三はどちらかというと王仁三郎の作品よりも王仁三郎の妻すみ子や娘直日の作品に魅了されたようですね。耀わんにも最初は興味がわかなかったようです。けっこうそういう人いますね。あまりに神々しくて(まぶしくて)目を覆ってしまうのでしょうか。
では、記事の内容の一部をテキスト化しますので、お読みください。
「耀盌 出口王仁三郎・出口直日の芸術 谷川徹三」全文
大本教の代々の教主が、絵画や書、陶芸などに豊かな才能をもっておられることはよくしられている。ここにかかげる王仁三郎氏の耀盌は楽焼である。
耀盌は加藤義一郎氏(逸翁美術館副館長、すでに故人)が命名したといわれる。氏が或る日、備前の金重陶陽と素山氏に会われたとき、はじめて王仁三郎氏の陶器に接し、感激のあまり、星の輝きになぞらえて耀盌という名を考えたのだという。また三代目直日教主の陶器についても故小山富士夫氏は浜田庄司、荒川豊蔵、石黒宗麿、金重陶陽、上口愚郎氏など多くの作品とくらべても、ひときわ私の心を惹く作であると書いて、その素心をたたえている。
色感に「わび」「さび」を強要されつづけたわれらは、この明るい純粋な色さえ忘れかけていたのだ。これらの茶碗には従来のお茶の茶碗としては、想像もできない色彩がある。フランス絵画風のこの明るいおおらかな色彩に、王仁氏の宇宙感さえも感じられるのである。この色はまさにゴッホを思わせる世界である。
「天国の美–耀盌– 谷川徹三」の最後の部分
…ここには大きな芸術的意志がある。一つ一つの作品には、無心の三昧境が見てとれる。しかしその全体を貫くものは大きな意志と信念である。その茶碗の厖大な数もそこに独自の意味をもって来る。その芸術的意志はその宗教的意志と一つなのである。
王仁師が自分で制作はしたけれど蒐集はしなかったというのも、ここから理解することができるように私には思える。彼はどこまでも創造者である。そしてその創造は一人の予言者の幻視によるものなのだ。
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