祭と荒魂(国文祭フィナーレに思う)
山梨県で通年開催されていた「国民文化祭」がフィナーレを迎えました。娘の所属する我が校のジャズバンド部も最終ステージに参加するということで、私も観に行ってきました。
ステージの内容については細々と思うところはありましたが、今日は少し高い次元からの感想を書きたいと思います。
まず、国文祭史上初めてという「通年開催」についてです。我が山梨県はずいぶんと頑張ったと思います。はたして今後、このような形式での開催があるのか。とりあえず、来年の秋田国文祭は従来どおりの期間限定(10月)開催になるとのこと。
この通年開催の是非は、ある意味では祭の本質に関わってくる問題ですね。
私の感覚からしますと、日本の祭はその非日常性にこそ意義があります。ですから、通年開催となった場合、1年間を非日常にしなければならないわけで、それは想像したとおり、そして実際にそうであったとおり、非常に難しいことです。
はっきり言えば、今回の富士の国やまなし国文祭は、せっかくのエネルギーが時間的に大きく分散してしまい、その本来的な目的が達成し得なかったように見えました。
山梨県内で、それも仕事柄この祭に関わる機会が比較的多かった私でもそう思うのです。一般の県民や、ましてや他県の人たちにとっては、「えっ?そんな祭やってたの?」的なムードであったと思います。
国文祭に比較される期間限定開催の国体でさえ、なかなか「お祭り」にならないのですから、より地味な(?)文化祭はなかなか盛り上げるのが難しい。
本来なら47年に一度の割合でしたやってこない国文祭ですから、もっともっと盛り上げるべき、いや盛り上がるべきなのでしょう。
国体もそうですが、こういう国民行事、いや国民祭は、その開催県においては、正直お荷物になっているような状況です。
つまり、そこにある「非日常性」「祭性」というモノが軽視され、単なる競技会、発表会になってしまっているのだと思います。
いささか乱暴なまとめ方になりますけれども、私にとっての「祭」は、「荒魂(あちみたま)」に対する人間の「おもてなし」です。
いつも書いているように、神々の世界(すなわち自然界)は、1割(もしくは1分)の荒魂と9割(9割9分)のバランスで活きています。
近代的な考え方だと、私たちは人間に害を及ぼす「荒魂」的なモノは、法や科学技術などで封じ込めることになりますが、たとえば日本の古来のやり方では、それに対して、ある種活躍の場を与えたり、おべっかを使ったり、持ち上げたり、あるいは慰撫したりして、少しずつガス抜きをするような機会を作ってきました。
その代表的なものが「祭」です。実際に、日本の祭には、人間が命を落とすような荒々しい神事がたくさんあったりするじゃないですか。
しかし、そうした機会がないと、もう一方の「和魂(にぎみたま)」は活性化、あるいは継続しません。
そういう意味で、今回の国文祭はちょっと「非日常性」が薄らいでしまったかなと。
実際、地域の祭も通年やっていたら、もう祭じゃなくなっちゃいますよね。
もちろん、半世紀に1回巡ってくるものだから、その1年を大きな非日常にしようとしたという、そのアイデアと勇気は素晴らしかったと思いますが、実現するのは難しかったということでしょう。
オリンピックでさえ、基本4年に一度、そしてたとえば東京では56年ぶりに開催されるけれども、やはり1ヶ月くらいの中で全部収めるわけです。
そうして「荒魂」を時空ともに凝縮することによって、「和魂」を時空ともに拡大するのです。それが日本の神道の知恵です。
今日、来年開催の秋田県から、「なまはげ」がやってきました(私のなまはげ考はこちら参照)。太鼓を叩きました。まさに「荒魂」です。彼らが登場して、一気に会場のムードが変わりました。何か象徴的な感じがしましたね。
そして、秋田の和魂の象徴、すなわちニギハヤヒの分霊(?)はスギッチでしょう(笑)。
スギッチとはいろいろと因縁浅からぬワタクシ。まさか地元山梨富士吉田でツーショット写真を撮る日が来るとは…。
ワタクシゴトではありますが、来年、秋田での国文祭に、娘たちのジャズバンド部も参加することになっており、おかげさまで、秋田の親戚の皆さんにお披露目ができます。まったくタイミングが良くてビックリしています。
今日、秋田の国文祭のパンフレットをいただきました。スギッチがたくさんいました(笑)。国体でスポーツをするスギッチも可愛かったけれども、文化に親しむスギッチも可愛かったなあ。
スギッチは永年利用されるゆるキャラですが、富士の国やまなし国文祭のキャラ「カルチャくん」は、このあとどうなるのか、ちょっと心配でした。
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