三つの「君が代」
文化の日(すなわち明治天皇のお誕生日)の記事に「五線譜に描いた夢 日本近代音楽の150年」を観に行ったと書きました。
実はそこで、初めて「初代君が代」を全部聴きました。明治3年にイギリス人フェントンによって作曲されたものです。
君が代の歌詞と音楽の歴史については、書きだすと本当にキリがなくなりますし、それぞれに対する私の意見や、いわゆる国家としての君が代問題についてもかなりの分量になってしまうので、今日は全部割愛させていただきます。また、いつかじっくり語りたいと思います(いつになるやら)。
まあ、とにかくですね、最低でも「君が代」を3種類作曲され公にされているのです。
我々が歌っているのは第二の君が代。第二の君が代は林廣守ら日本人が旋律を作り、ドイツ人エッケルトが和声をつけたものです。
この第二の君が代が初めて演奏されたのは、明治13年の天長節、すなわち11月3日ですから、文化の日は「君が代の日」でもあるわけですね。
そして、第三の君が代は文部省が公にしたもの。これは正直ひどい。イギリスの俗歌に歌詞を乗せただけ(笑)。
今日はこれら三つの「君が代」ほかをまとめて聴いていただきましょう。
この動画では他にも歌詞違いなども含めてごった煮にしてくれていますが、これはこれでなかなかおいしいですね。1曲目が第三の君が代です。そしてフェントンのが初代。二代目は皆さんよくご存知ですよね。
文部省のにならなくて良かった(笑)。フェントンの方がまだいいですね。ただ、歌詞の切れ目が不自然すぎる。
やっぱり第二のがいいですね。これもまた、ルーツにいろいろ問題があると言えばあるのですが、まあ、とにかく世界的に見ても(聞いても)かなり変な音楽なので良しとしましょう。
そう、西洋の和声をつけても全く西洋音楽になっていないのがいいのです。だいたい調性が謎ですよね。律音階とか言われますが、実はそれとも微妙に違う。ハ長調(イ短調)と同じ楽譜なのに開始音も終止音も「レ」ですからね。短調か長調かも分からない。そんな二元論は超越している。
冒頭と最後にエッケルトが和声を付けず、ユニゾンにしたのは正解です。他国のように行進曲風(軍歌風)ではないし、なんとも言えない味がありますね。西洋でも中国でも朝鮮でも、そして日本でもない、まさに世界を「和する」日本を象徴するような音楽です。
これがオリンピックなどで流れると、会場が異様な雰囲気になりますよね。大いに結構なことだと思います。不思議の国ニッポン。
ということで、またいつかゆっくり一つ一つの君が代について論評したいと思います(いつになることやら)。
Amazon 三つの君が代―日本人の音と心の深層
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