『地球を斬る』 佐藤優 (角川文庫)
外務省のラスプーチンによるインテリジェンス的地球解説。
SankeiBizの人気コラム「佐藤優の地球を斬る」(最新号はこちら)の前身であった2006〜2007年までのコラムをまとめた本です。
ちょうど第一次安倍政権の頃の話なので、今回改めて読んでみることにしました。この時代に現在の直接的ルーツがあると思うからです。
この本には、佐藤さんがのちに自らのコラムを検証した文章も加えられています。その検証が2009年あたりですからまた、近過去の復習にはちょうどいいですね。
佐藤さんの言う「インテリジェンス」とはつまり「諜報」のこと。相手に知られずその相手が持っている重要な情報を手に入れることです。
たとえばこの本を読むと、ここのところ騒がれている(反対されている)特定秘密保護法案が、いかに国際的には普通であり、また今までの日本がいかに諜報および防諜に関して異常に甘かったかが分かるでしょう。
実はここのところ、複数の方から、私も「防諜」意識を持った方がいいと言われています。たしかに、このブログなんか情報の垂れ流しですからね(笑)。
ただ、総理夫人ともよく話すのですが、私たちはあえて情報を流すことによって危険を回避しているのだ、隠したものこそが諜報の対象となるのだから、という考え方をしています。
もちろん、書く書かないには独自の基準はあります。その独自の基準とは実は「直観」「勘」なんですけどね(笑)。どういうわけか、私はその「直観」「勘」には妙な自信があるのです。
そんないい加減な…というわけで、それこそインテリの方には私のインテリジェンス意識の低さが心配でならないようですね。
ただ、たしかにメールの内容や電話の通話内容まで間違いなく把握されてますよ、と言われると、たしかに気分がよくありませんね。気分がよくありませんから、なるべく無駄なやりとりはしないように気をつけるようにはなりました。
まったく不思議なもので、1年ちょっと前までは、自分がそんな立場の人間になるとは夢にも思っていませんでした。
またまた中二病を発症していると言われそうですけど、まあしかたありません。妄想にしてはリアルすぎるので(笑)。
…と、こうして、私にも「インテリジェンス」意識があることをさりげなく発信することもまた、実はカウンター・インテリジェンス(防諜活動)になるのです。まさに見えない敵との情報戦ですな。
先日、外務省の方とミーティングする機会がありました。単純な私は、佐藤優さんこそが外務省の方のイメージだったので(強面?)、実際お会いした方のあまりの柔和さ、謙虚さには驚きました(笑)。もちろん、非常に頭がいいのは間違いなかったけれども。
さてさて最後に、この本でなるほどと思った箇所をいくつか。
筆者が創価学会を擁護する理由を語る部分で、出口王仁三郎の大本の弾圧の話が出てきました。大本がやられた後、キリスト教がやられたように、創価学会糾弾の後にはキリスト教への検察の圧力がかかるのではないかと言うのです。なるほどそういう発想ですか。ちなみに佐藤さんはクリスチャンだそうです。
それから、今の北朝鮮の平壌市民の心理の説明として、昭和20年の東京都民と同じだろうという話。これもなるほどと思いました。よく理解できました。つまり、負けると分かっているが降伏するつもりはない、最後まで戦い玉砕するということ。
そして、だからこそ、日本が本土決戦の前に無条件降伏したように、北朝鮮にも軟着陸の可能性があるというのです。なるほどですね。
あと私は全くの不勉強で知らなかったのですが、北朝鮮の先軍思想は1960年台の韓国における朴正煕政権がモデルになっているんですね。朴正煕は言うまでもなく朴槿恵現大統領のお父さんです。
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