『危険な宗教の見分け方』 田原総一朗・上祐史浩 (ポプラ新書)
私は嘘はつきたくありません。正直に言います。
上祐さんの話は正直面白かった。そして異様に共感する自分がいました。
その自分の危うさともしっかり顔を突き合わせていたいし、これからもそうしていきたいと思っています。
ある意味では、そういう態度に基づく(妙な)自信があるので、私はこのブログで平気で「トンデモ」なことを書けるのかもしれません。
以前、元オウム幹部野田成人さんの『革命か戦争か オウムはグローバル資本主義への警鐘だった』の記事に書いたように、上祐さんやその他オウムの信者だった人たちと私は同世代。育った環境や受けた教育は共通しています。
しかし、野田さんの本を読んだ時とは、また違った不思議な共感がありました。
「ワン・オブ・ゼム(その他大勢)」になりたくない。自分が世界を変える。宇宙開発に興味あり。神秘体験や超能力などのオカルトに興味あり。誇大妄想と自尊心。自己の価値を最大化。
上祐さんが語るそれらの言葉を私は完全に共有できます。ある種のノスタルジーすら感じるほどに、私は上祐さんの話に引きこまれていきました。まるで自分のことのようだ…。
あの頃、私も仏教に興味を持ち始めていました。正直言うと、初期のオウム真理教は、私から見ても、日本で最も純粋な出家集団に見えました。
では、なぜ、私はオウム真理教に入信しなかったか。
それはおそらく、私に勇気と根性がなかったからでしょう。出家する勇気がなかっただけでなく、やはりあの厳しい修行に耐える自信がなかった。もともと怠惰で楽することばかり考えている人間ですから。
そんな俗人で良かった。
実際、「紙一重だった」という感じがないのも事実です。
それは、「直観力」という、それこそオカルト的な力が私にあったからだと思っています。
怠惰である上に、「なんとなく違う」という直観があったから、オウムに接近せずにすんだのでしょう。鬼に金棒だったわけです。
しかし一方で、そんな私の怠惰で直観的な生き方を心配してくださる方々もいらっしゃいます。具体的には、私のプログでの言説をオカルトだ誇大妄想だと心配してくださる方々ですね。まあ、そうでしょう。霊的な話が多いですし、出口王仁三郎もよく出てくるし、えっ?またウソ言って〜的な内容もしょっちゅうですからね(笑)。
ただ、自己分析して面白いのは、私に「オウム的」な部分があったおかげで、今の妄想実現力が培われたという事実です。これはたぶん正しい。最近よく使っている言葉でいうなら、「中二病が治っていないどころか重篤化している」ということでしょうか。
そういう意味で、オウムを「卒業した」野田さんや上祐さんの「今」も、私はかなりのレベルで共有できます。
たとえばこの本の後半で、聖徳太子の名前があがり、「和」と「輪」という言葉が象徴的に使われ、さらに富士山麓の聖徳寺まで登場するとなると、いつかゆっくりお話をしてみたいような気さえするのでした。
上祐さんは、大東亜戦争と同様にオウム事件は「総括」されていないと言います。たしかにそうです。
しかし、一方では、「総括」できない、無理に「総括」する必要はないという気もします。
やはり、これからは「コトよりモノ」の時代なのではないでしょうか。言語化される明確な「コト」は、結局帝国主義や原理主義的宗教を生みます。得体のしれないぼんやりした「モノ」を総体的に(直観的に)捉え、共有する時が来ていると思うのでした。
Amazon 危険な宗教の見分け方
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