臨済寺(静岡市)参拝
ご縁あって静岡市の大龍山臨済寺を参拝させていただきました。
臨済寺は修行道場なので通常は一般公開はされていませんが、今日は妙心寺派の高僧の皆さんに混ざらせていただき、野狐禅師のワタクシも奥の奥まで拝観させていただきました。
静岡市大岩と言えば、私が中学時代の一部を過ごした場所。いろいろな思い出があるところです。また、通っていた高校もすぐ近くでしたので、臨済寺には何度か足を運んだ記憶があります。
そのころはこうして坊主頭になってホンモノのお坊さんに混じって参内するなんて夢にも思いませんでしたね。まったく人生はどうなるか分からない(笑)。
いやあ、本当に素晴らしい叢林でありました。修行道場としての風格はもちろんお見事。どの一隅にも禅の奥義が感じられました。
また、今川氏の菩提寺であり、徳川家から格別な庇護を受けておりましたから、さりげなくとんでもないお宝がゴロゴロ…いやいや、そういう目で見てはいけないのか。
まあ、詳しい寺史縁起は他のサイトに譲るとしまして、私が現地でふと思い出したことを書いておきたいと思います。
臨済寺は開山が二人いるという珍しい寺ですが、実質的な開山は雪斎長老です。雪斎は太原宗孚とも名乗る名禅僧。
太原は京都の妙心寺や大徳寺にもゆかりの深い僧ですが、彼とその両寺にまつわる面白いエピソードがあります。
妙心寺の古記録である正法山誌などによると、太原はある時、宋の牧渓による観音像、左右猿鶴の画三幅と銅銭五十貫文のどちらか一方ずつを、妙心寺と大徳寺に寄進することとしました。
まず妙心寺にどちらを望むかたずねたところ、妙心寺は銅銭がほしいと答えました。その結果、大徳寺には画三幅が贈られました。
妙心寺はその金で現存する山門を造営したとのこと。また、大徳寺に贈られた画は今では国宝となっています。
実はそんな現金な(失礼…笑)妙心寺は「算盤面(そろばんづら)」と呼ばれるようになりました(今でも言われている)。一方、現金よりも茶の湯や絵画などの趣味(?)に力を注いだ大徳寺は「茶面」と呼ばれています。
それぞれの「アダ名」がついた理由には異説もありますが、たしかに妙心寺派のその後の(コンビニの蔓延のごとき)すさまじい教勢拡大には、巨大なカネ勘定が絡んでいたことはたしかです。ま、近世とはそういう時代だったのでしょう。
そのへんにつきましては、こちらを読むとよく分かります。
ちなみに京都検定にもよく出る、「◯◯の〜面」には他にも次のようなものがあります。覚えておきましょう(笑)。
『建仁時の学問面』
『南禅寺の武家面』
『東福寺の伽藍面』
『相国寺の声明面』
どれもちょっと皮肉が入っていますが、そんなところも京都の雅なユーモアなんでしょうね。
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