『闇金ウシジマくん』 真鍋昌平 (小学館ビッグコミックス)
普段あんまりマンガを読まない私ですが、これは結構読み進めています。
しかし、エンターテインメントとしてのマンガではなくて、ドキュメンタリーというか、教材的な感覚で読んでいる感じですね。
ドラマや映画にもなりましたから、そちらでどういう話かご存知の方もいるかもしれませんけれども、不思議なもので、マンガの方がリアルな感じがする。
真鍋さんの絵はどちらかというと歪み系だと思うのですが、それが堕落していく人間、そして搾取する人間の内面を描き出しているようです。
この1巻で、いきなり借金返済のために風俗で働かざるをえなくなり、そこからどんどん地獄に転落していく女が描かれています。これと同じようなテーマ、シチューエーションで人間の内面をえぐり出したのが、この前紹介した、実相寺昭雄のAV「アリエッタ」でした(あれは本人の濫費癖ではなく、夫が借金を残して死んだのが堕落死の原因でしたが)。
考えてみれば、実相寺昭雄のあの「歪み」というのも、登場人物や社会の内面の「歪み」を表現するものでしたね。
そうしたものに我々が共感し、あるいは恐怖するということは、私たちの目(脳)は、世の中をそのように歪ませて見ている部分があるということだと思います。
一方で完全なる「真・善・美」を求めつつ、その半面で常に「嘘・悪・醜」におびえている私たちがいるのでしょう。
それはさらに抽象化するなら、ワタクシのいつも言う「コト」と「モノ」になるでしょう。私たちはそういう「モノ」に目をつぶりがちです。
しかし、こうして真鍋さんや実相寺のように、それを象徴化して(すなわちストレートではないけれども)見せてくれる「モノガタリ」にも、私たちは一定の魅力(必要性)を感じるものです。
そういう意味で、「コト」というフィクションにまみれた現実社会に、ぽっかりと「モノ」の穴を開けてくれるこういう作品というのは消えることはないでしょう。
面白いですね。コトがフィクションで、モノがリアルというパラドックス。
つい最近も、このマンガが「鬱マンガ」ランキングで断トツのSランクになってました。それなのに600万部売れるというのも、まさにパラドックス。
というか、「漫」画が「鬱」というのも、すでにパラドックスですよね。いや「漫(すず)ろ」という言葉には本来「不本意だ」という意味がありますから矛盾ではないのか。つまり、「漫=モノ(外部・不本意・不随意・アンコントローラブル)」そのものだということです。
日本というのは実に面白い国です。
1巻はKindle版ではたった99円です。1巻だけでも充分ドヨ~ンとなりますし、勉強にもなりますから、皆さんもぜひ(と、不快をおススメするというパラドックス)。
Amazon 闇金ウシジマくん(1) (ビッグコミックス) [Kindle版]
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