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2013.10.22

ボストン 『ドント・ルック・バック』

Boston Don't Look Back

 、私以外の家族はカラオケへ。最近は「ボカロ縛り」で歌うことも多いとか。
 カミさんは歌ならジャンルを問わない人です。尊敬する歌手は美空ひばりと初音ミクというからある意味すごい。
 あっ、そう言えばちょっと前に美空ひばりとボーカロイド。という記事を書いたっけ。
 娘たちはこのご時世のオタクたちのご多分に漏れず、本当に「ボカロ」が好きです。私も文化現象としてのボカロには興味があります。
 たしかに20世紀末には、シンセサイザーやMIDI、シーケンサーなどが登場し、私たち素人が音楽制作のチャンスを得ました。
 しかし、ボーカル(歌)に関してはどうしようもなかった。MIDIでは歌詞は表現できません。そして21世紀、革命が起きます。ボーカロイドの登場です。
 これは音楽史上最大の出来事であったと言っても過言ではありません。
 人間の歌や楽器は自然発生的、同時多発的に生まれたと思われます。そして西洋音楽を象徴する楽譜(タブラチュア)は古代にその萌芽が見られますが、今の五線譜が確立したのは16世紀のことです。
 そして、MIDIが登場したのが1980年。MIDIの発想はあくまで西洋近代音楽の五線譜の上にありますから、テクノロジーとしては、いわばピアノロールなどの楽器自動演奏と変わりありません。
 そうした発想自体はおそらく古代からあったでしょうし、また、バッハなどが頭の中でそういうことを夢想していたとしてもおかしくありません。
 しかし、人類史上誰がいったい、「歌」を機械が歌う時代が来ると考えたでしょうか。これは本当に大変なことです。
 そして、予想されていたような不自然さはたしかにあるものの、しかし、そこに別の「味わい」を感じてしまうほど、初音ミクはそのキャラクターも含めて素晴らしかった。日本発の音楽革命です。
 ウチの上の娘は中二です。演奏するのはジャズばかりですが、聴いたり歌ったりするのはボカロばかり。うん、たしかにボカロは日本人特有の中二病を映す音楽ですね。すなわち「超素人(スーパーアマチュア)」の音楽。社会的な常識や羞恥心を超越した「厚かましい(痛い)自己表現」の場。いや、もちろんいい意味で言っているのですよ(笑)。
 ということで、前置きが長くなりましたが、ボカロ縛りカラオケに興じる中二の娘を見てましてね、自分の中二時代、この時期には何を聴いていたのかなとふと思いまして、思い出してみたら(調べてみたら)、これでした。ボストンのセカンド・アルバム。
 そうで久しぶりに聴いたんですけど、なかなかいいですねえ。懐かしいし、今聴いても新しい。
 で、よく考えてみたら、これも「スーパーアマチュア」による作品ですよね。
 そう、ボストンって当時私は普通にバンドだと思ってましたけど、実質的にはトム・ショルツによるソロ・プロジェクトなんですよね。そう、まさに一人オタクワーク。
 トム・ショルツはマサチューセッツ工科大学出身の技術者。ポラロイド社の社員だった。
 彼がいわゆる宅録をしたデモテープをレコード会社に持ち込んで、結局、バンドということにして売りだした。たしかに当時、アメリカン・ハード・プログレ・バンドは一つのブームになっていましたから、ライヴのことなどを考えると当然の措置だったかもしれません。
 しかし、問題はやはりボーカルだったわけですよ。トム・ショルツはそんなに歌はうまくなかった。そこで、オーディションをしてブラッド・デルプを抜擢したわけです。今なら初音ミクちゃんが歌ってくれますが(笑)。
 このアルバムの音楽的なことは書きだすときりがないのでやめておきます。まあ、一言で言うと、タイトル曲「Don't Look Back」の完成度が高すぎるということでしょうか。
 当時のアメリカのロックはイギリス以上にキャッチーなギターリフを求めていたような気がします。そういう意味で、この曲のリフというか、ギターのフレーズは素晴らしい「節回し」であります。
 その独特のエフェクトも相まって、まさに「ボストン節」を生み出していますね。
 「No Synthesizers Used」「No Computers Used」という意味では、現代のボカロ音楽とは大きく違うとも言えますけれども、その根本は「超素人」が芸術的にも商業的にもプロを凌いだということで共通しているかもしれませんね。
 いやあ、それにしてもなんか懐かしかったなあ。「振り返るな」と言われると、ますます振り返りたくなるのが人情であります(笑)。
 アルバム全体としては1曲目タイトル曲(ファースト・シングル)のインパクトが強すぎて、その後がなんとなく物足りない…そんな感覚も当時と同じでした。

Amazon Don't Look Back
 
 

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