『ゲイリー・バートン&キース・ジャレット』
グラミー賞をアルバム7作で受賞しているジャズ・ジャイアント、ヴィブラフォン奏者ゲイリー・バートン。
彼の業績については私がいちいち語る必要もないでしょう。
今年も来日して、愛弟子(と言っていいでしょう)の小曽根真さんと素晴らしいデュオを聴かせてくれたようですね。
ライヴに先立ち発表されたニュー・アルバム「TIME THREAD」も聴きましたが、相変わらず素晴らしいアンサンブルでした。
こちらの小曽根さんのインタビューで二人の出会いが語られています。音もちょっと聴けますのでどうぞ。ヤマハのピアノの露骨なステマ(笑)になってますが…。
ここでは言及されていませんでしたが、最初のセッションでのゲイリーと小曽根の会話はなんともいいですね。
「君は伴奏がいかなるものか、全くわかっていないな」
「コードは間違っていなかったはずです」
「コードやリズムが間違っていたわけではないよ。では君は僕がこの8小節でどんな演奏をしたか覚えているかい?」
これはアンサンブルが会話であることを非常に端的に表わしていますね。
さて、今日はそんな巨匠ゲイリー・バートンにも若かりし頃があったというおススメであります。
小曽根さんはどちらかというとチック・コリア系のピアニストですよね。実際、ゲイリーはチックとの共演も多い。
一方、これは私の勝手な感覚なんですが、ゲイリーの透明感(それにはいろいろな要因が働いています)が、キース・ジャレットのピアノと合うような気がするんですよね。なんとなくですが、そういう「音世界」を妄想できる。
しかし、ある意味意外なことに、二人の共演はたった1作しかありません。それも1970年ですから、今から四十数年前。
デュオではありません。ゲイリーのバンドにキースがゲストで招かれたという形でしょうか。
まあとにかくこれを聴くといろいろと衝撃的です(笑)。先ほど妄想した「音世界」と正反対の「音世界」が広がるのです。
説明不要。とにかく聴いてみてください(全5曲のうち4曲はYouTubeで聴けます)。
全く想定外の音ですが、これはこれでカッコイイと言わざるを得ませんな。二人の巨匠にも青春があったわけです。その時々にしかできない音楽がある。音楽、特にジャズは人生を映しますね。
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