税金の払い方…「知恩者解報恩」
安倍総理は来年4月消費増税を決断しました。
17年ぶりの増税が、これも17年ぶりの米国政府一部機関閉鎖と重なったあたり、昨日の記事でほのめかした「裏」を感じるものがあります。
ところで、昨日も書いたとおり、これは私たちにとってチャンスであるとも言えます。
経済と財政のバランスこそ、今、世界において国家が信頼されるための最大のファクターとなっています。
結局のところ、国内経済の発展のためには、そうした国際的な信頼を得なければならないわけです。
そういう意味でもチャンスだと言えます。実際、小幅ながら株価も上がりましたね。
近視眼的に考えれば、物の値段が上がるとか、景気回復の腰が折れるとか、そういう実に庶民的な言葉も出てきます(もちろん、それも事実なので悪いことではありませんが)。
しかし、今こそ日本人は「遠視眼的」な発想を持つべきなのではないでしょうか。
それはエコノミーという世界におけるギブアンドテイクに限らず、人間の心や行動におけるギブアンドテイクの関係についても言えるのです。
来週、私の奉職する学校で創立50周年式典が行われます。私にとってもいくつかの意味でとても重要な日となりそうです。
我が校のある部屋に、昭和の名僧、臨済宗円覚寺派管長であられた朝比奈宗源老大師の書があります。まさに我が校が創立したその50年前に揮毫いただいたものと思われます(ちなみにあの「水戸黄門」や「大岡越前」の文字も師によるものです)。
「知恩者解報恩」
恩を知る者は恩に報ゆるを解す…と訓むのでしょうか。
禅語としては「知恩方解報恩」というのがありますね。朝比奈宗源老大師も深く研究されていた「臨済録」にある言葉です。
いずれも、「人のおかげさまで生きていることを知ると、その恩に報いることができる」と解釈することができます。
税金というのは、実は非常に遠視眼的なギブアンドテイクです。もうお分かりと思いますが、私たちは近視眼的になると「税金を搾り取られた」という言葉を発します。
もちろん、私たちの今の生活は、過去の誰かの税金によって支えられているわけで、これは仏教で言う「恩」にほかなりません。
「四恩」という言葉があります。仏教における四つの恩の形態のことです。
「布施」=分かち合い
「愛語」=優しい言葉
「利行」=利他的な行為
「同事」=平等な態度
税は布施と利行に該当するでしょうか。
そうした「恩」によって私たちの生活(生命)が保たれているということを意識すれば、それに報いるために喜んで税金を払うことができるようになります。
そうそう、この前、税務署長さんらに演説してしまったのですが(笑)、日本の学校では「税」は搾り取られるものとして教えられるんですよね。つまり、歴史教育においてです。「年貢」ってそういうイメージがあるじゃないですか。小学校の時から、「年貢を搾り取られて貧苦にあえぐ庶民」像ができあがってしまう。これはいけませんね。
本当なら、私たちが有史以来、いや地球創世以来、いや宇宙開闢以来ずっと、無数の縁と恩によって生かされてきたということを教えるべきなんでしょうね。そうすれば、私たちは無限に「布施」できるはずなのです。
まあ、そんな理想論、理念的、宗教的なことを言っても、やはり増税は増税、搾り取られてるんだよと言う人がいるのも理解できます。しかし、せめて、どうせ払うなら「いいことをしている」と思いたいですし、「いずれ子孫に返ってくる」と思っていたいですね。
皆さんも、それぞれの次元で、「税金の払い方」を考えてみてはいかがでしょうか。
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コメント
17年ぶりの増税…この先どうなってゆくのか、不安で仕方がありません。増税に合わせていろんな見直しが行われていますが、それが良い方向に向かうのであれば賛成ですが…
投稿: 子供・小学生の視力回復専門家子供・小学生の視力回復専門家 | 2013.10.25 23:27