『次に来る自然災害 地震・噴火・異常気象』 鎌田浩毅 (PHP新書)
未明のアウターライズ地震M7.1、びっくりしましたね。
私の富士山のラドン濃度観測からすると「富士山から比較的遠い地域で中規模以上、27日から1週間が注意期間」でしたので、直前の注意喚起をする前に発生してしまいました。
今回は規模の割に揺れが小さかった。それはもちろん震源が海溝の外側ということで、陸地から300km近く離れていたからです。
しかし、これは逆に言うと怖いことです。
明治29年6月15日に発生した明治三陸地震では、最大震度は秋田県で震度4であったにも関わらず、岩手を中心に太平洋側に巨大津波が襲来しました。最大遡上高はなんと38m超。
住民は震度3程度だったので大いに油断してしまい、2万人以上が亡くなっています。
マグニチュードは8.5。震源は陸地から200キロ東方。規模も距離も今回の地震とは違いますが、陸地での揺れはほぼ同じ程度でした。
明治三陸津波は海外にも到達しています。ハワイで波高10m、アメリカ西岸で3m。
揺れの大きさと津波の大きさは全く比例しないことが分かりますね。
こういう知識があるとないとでは、命を守れるかどうかに大きな差が出ますね。
今回の津波注意報は1mということでしたが、明治三陸津波の知識を持っていた人はより厳重な注意をしたことでしょう。それで良いのです。
私もすぐに上記のような内容をツイートしました。結果として空振りでしたが、それで大いに結構です。
今回、地震に関する注意喚起が遅れたのは、正直言うと台風に気を取られていたというのもありますね。27号、28号の動きばかり追いかけていましたから。
本当に日本というのは自然災害の多い国ですね。
さてさて、この本は、そうした日本を襲うと予測される(ほとんど100%の確率)、大地震、津波、火山噴火、台風、異常気象、ゲリラ豪雨、落雷、オゾン層の破壊などについて、我々素人にもわかりやすくその現象、メカニズム、対策を解説してくれています。
やはりそれぞれの自然災害についての知識があると、的確な避難や対策が可能になりますし、パニックに陥ることもありません。
そういう意味で、この本は実に素晴らしい本です。難しくなりがちな科学的事項を易しく優しく語ってくれているのです。
以前紹介した鎌田さんの富士山噴火に関するこちらやこちらもそうでしたが、鎌田さんの人柄というか、私たち庶民に対する科学者としての愛情のようなものが伝わってくるんですよね。
やはり研究者の究極の役割というのは、自らの専門的知識を庶民に啓蒙することだと思います。そこには当然、愛情や善意が伴うべきですね。
というわけで、この本は日本人なら必読の書と言えそうです。最後は自らの判断で自らの命を守るしかないのです。正しい知識を身に付けましょう。
逆に…あんまり言いたくありませんが、こちらのような扇動と悪意に満ちた本を書くような人には科学者を名乗ってほしくないですね(苦笑)。
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