『日本語の大常識(これだけは知っておきたい)』 金田一秀穂 (ポプラ社)
「国語学」の基礎。今では「日本語学」と言わなければならないのかな。いや、「国語学」と「日本語学」では、やはり雰囲気が違う。「国史」と「日本史」の違いくらい違う。そこが日本語の面白いところですよね。
誰かが図書館から借りてきたらしく、さりげなくテーブルの上にありました。思わず手にとって開いたら、面白くてというか、なんとも懐かしくて一気に読んでしまいました。
さすが「金田一」さん。私は国語学徒でしたから。文学部国文科国語学専攻ですよ。コテコテですな。(間接的にですが)お世話になったのは「金田一春彦さん」。そういう時代です。
ちなみに我が大学はいまだに「文学部」の単科大学ですし、「国文科」とか「国語学」という名称を使っています。時代に流されない。いいことです(笑)。
この本、大学で最初に教わることがだいたい網羅されています。それも小学生にも分かるように面白くやさしく。
日本語の豊かさに驚くと思います。何気なく使っている日本語の奥深さに気づくと思います。
日本語の豊かさ…こういう言い方すると他の言語が豊かではないのかというクレームがつくのですが、実際日本語は多言語に比べて豊かな部分が多い。もちろんその逆の領域もありますけれども、客観的に見て豊か度はかなり高い。私は世界一だと思います。そう思うと「国語」に対する誇りも生まれますよね。
そう、こういう内容って小中高では全然教えないんですよね。「国語」という教科があるのに。いつも言っているように、「国語」が「国文学」の授業になってしまっている。もっと言語的な事象を教えるべきです。「国語」で言語的事象を、芸術科目「文学」で文学鑑賞と創作を。これが私の主張です。
ところで、ポプラ社の「これだけは知っておきたい」シリーズですけど、これって大人が読むべきですね。
もともと日本って、大人がマンガを読んでいてもおかしくない国じゃないですか。だったら、こういう本ももっと読まれてもいい。もし、こういう本を電車の中で開くのが恥ずかしければ、電子ブックで読めばいい。こういう本こそ電子化すべきなのかもしれませんね。
そういうブームを起こすというのはどうでしょう。もともとこういう本はそんなに売れませんから、電子化して100円とか200円とかで売る。けっこう売れますよ、きっと。
そうすると日本人の大人の教養が豊かになる。つまらん大人向けの雑誌読むよりずっと国力アップにつながります。私が文部科学大臣だったら、これやりますね(笑)。
ところで、「大常識」という日本語、これもある時代を映す流行語の一つですね。「常識」という言葉自体が、「お前こんなことも知らないの?」という強迫観念を持った言葉です。そこに「大」という、まあこれもまた日本語独特の強調語がくっついて、さらに我々に学びを強要する(笑)。
しかし、だいたいこの手の本って、我々にとっては全く常識ではないマニアックな内容なんです。この「日本語の大常識」もまさに、国語学専攻基礎レベル。どちらかというとトリビア的な(これもまた流行カタカナ語)内容ですよね。
ま、教養とは常識的なトリビア(雑学)のことですから、それでよしと。
ほかのシリーズも子どもに借りてきてもらって読んでみようと思います。教養人になるぞ(笑)!
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