『エルミタージュの猫たち~女帝と猫と名画の奇妙な物語』 NHK BSプレミアム
うわぁ〜、サンクトペテルブルク行きたくなっちゃった。
昨年放送され見逃してしまった番組の再放送がありました。
サンクトペテルブルク、エルミタージュと言えば、昨年、出口王仁三郎関係で知り合った指揮者の藤野栄介さんがいらっしゃる。これはお願いして案内していただかねば。
なんでもエルミタージュ美術館ではエカテリーナ二世の時から猫を飼っているのだとか。もちろん、収蔵品をネズミから守るためです。
そう、猫は世界中どこでも人間の生活を守ってきたのです。この富士山麓でも、絹織物をネズミの害から守るために、猫を神様として祀っています。
まあ、それにしてもエルミタージュの猫たちはなんとも幸せそうでしたね。なにしろエサ係や医療係など、正式な職員がたくさんいるのですよ。うらやましい…いや、猫じゃなくて、その仕事がうらやましい(笑)。
番組観ながら一番興奮していたのはカミさんです。猫キチにはたまりませんね。
そして、「私がたくさんいる」と。それはどういう意味かというと、そう、ウチのカミさんの顔ってどう見てもロシア人、それも西部の方の顔なんですよね。東欧系とも言える。
たしかにあの街に行っても全く違和感ないでしょう。私がソウルで韓国人に道を聞かれたように(笑)。
それにしてもエルミタージュ美術館の猫たち、みんないい具合に肥えてたなあ。ああいう太った半野良猫たちって一番カワイイ。人間と一緒に暮らしているけれども、しかし自由で気まま。
猫の平和は人類の平和…というような言葉が紹介されていました。分かります。
第二次世界大戦とその後の猫の受難と復活はそのままサンクトペテルブルク(レニングラード)の受難と復活の物語となっていました。
子どもたちの描いた猫の絵によるアニメーションがなんとも良かったなあ。もう町並み自体がまるで絵本の世界ですからね。
もちろん、エルミタージュ美術館が所蔵している素晴らしすぎる美術品の数々については、語り出せばきりがありません。その一部が日本に来た時には私もよく観に行きました。
しかし、なんと言いましょうか、そうした名画の数々に負けない猫たちの美しさとでも言いましょうか、そうですね、ウチの不細工な猫たちを見ていても思うのですが、猫って完璧なデザインしてますよね。
いろいろな動物たちの中でも秀逸に「人間好み」のデザインです。これは、自然の進化というよりも、明らかに人間に好かれるように進化している。
これはおそらく種の生き残りのための手段だったのでしょうね。
逆もあるじゃないですか、不快害虫という、まさに人間のわがままな美意識(醜意識?)のレッテルを貼り付けられたカマドウマとか、逆にあれも秀逸すぎますよね。人間に嫌われることによって敵を避ける方法をとったとしか思えません(笑)。
その点、猫はその性格や動きも含めて見事に人間好みに進化していますね。
そして、面白いのは、今日の番組でも紹介されていた名画の中の猫たちが、実はあんまり可愛くないということ。
これは日本の絵画においてもそうなのですが、いわゆる写実に走ると猫は可愛くなくなる。
それがたとえば、この前紹介した仁科幸子さんのネコなんか、とっても可愛くて、猫の本質を表現している。
これは私たちの実感が、決して写実に基づくものではないことを証明しています。先ほど書いた、性格や動き、我々との時間、そして進化の意志まで含んだ総体としての「猫」は、決して写実では表現できない。
特に日本人は「イメージ」で対象をとらえますからね。それがたとえば西洋では印象派という技法として受け入れられたわけじゃないですか。
この「写実」の問題は、実は西洋絵画にとっての大きな壁でした。特に、輪郭線を失ったダ・ヴィンチ以降は。
…と、そんな屁理屈も全く気にせず、自らの「美」を自然に表現しているエルミタージュの猫たちは、猫こそがもしかすると神の創造した最も優れた造形なのではないかと思わせるに充分な「たたずまい」をしておりました。
ああ、行きたい!行こう、いつか。
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