富士学苑中学・高校 ジャズバンド部 第11回リサイタル
今日はジャコ・パストリアスの命日。そんな日にジャズの遺伝子を未来に継ぐ若者たちの演奏を堪能させていただきました。
我が富士学苑中学・高等学校のジャズバンド部「Moon Inlet Sounds Orchestra」のリサイタル。
ちょいと手前味噌になってしまいますが、今最も熱い学生ビッグバンドと言ってもいいMISO。その活動の集大成たるリサイタル、高校3年生の最後のステージということもあり、毎年特別な感慨をもって聴かせていただいています。
11回目のリサイタルのテーマは「11 Da Capo 〜新たなる始まり〜」。なるほど、今年は創部10周年、そして本体である高校も創立50周年ということで、新たなる歴史のスタートの年であります。
Da Capo ということは、様々な展開や変化を経て、もう一度原点(テーマ)が再現されるということです。それはクラブとしても個人としても基本に立ち返ってさらなる発展を目指すということにほかなりませんね。
学生バンドの宿命であるメンバーの1年更新。タイムリミットのある中で、縁あってその年に集まった生徒たちによって、それぞれの年ならではの音楽が生まれるというのは、たしかに音楽が流れの中で有機的に変化していくことと似ています。
音楽の本質は繰り返しと変化、形式と破格のバランスです。ジャズで言えば、楽譜とアドリブという言い方をしてもよい。または、不易流行の妙とも言えましょうか。
それが学生バンドの場合は、部員の更新という形で、内部的にも象徴的に起こってくるわけです。その全体をプロデュースしてキャラクタライズしていく顧問の先生は、壮大なるコンダクターの役割を果たしているわけですね。
この10年のそれぞれの年度のバンドを思い出してみると、もちろん技術的なことではいろいろなレイヤーがありますけれども、しかしそれぞれがそれぞれに個性的で魅力的でした。
今日も第2部でOB・OGバンドの演奏がありました。それぞれの顔を見て音を聴きながら、まさにそのことを思い出していました。ああ、クラブ(バンド)の歴史がそのまま魅力的な音楽のようだなと。
今年度のバンドも今までの先輩方に負けず個性的な音楽を聴かせてくれました。中学の1期生は高校1年生となり、その後輩たちも増えて、今までにない幅の広さとなりました。その中での切磋琢磨…そこには協和音も不協和音もあって当然です…が音楽性に厚みを与えていたと思います。
現役バンドはアンコール含めて18曲ですか。スタンダードからAKBまで、実に幅広いジャンルをカバーしていましたね。私としては、現代の若者たちが演奏するスタンダードが特に印象に残りました。1930年代から60年代の名曲たちが、こうして全く色褪せず弾き継がれていることに、より大きなスケールでの「生命の継続と進化」を感じました。
そういう意味で、今日会場に駆けつけてくださった内堀勝さんのアレンジはお見事としか言いようがありませんね。スタンダードを現代的に生まれ変わらせる、その技術と感性と勇気は、まさに尊敬に値します。ありがとうございました。
最後にワタクシ事となりますが、昨年中1で1曲だけ弾かせてもらったウチの娘、2年生になりまして、昨日は全曲ベースを担当させていただきました。正直1年でここまで弾けるようになるとは思いませんでした。環境というのは本当に素晴らしい。ありがたい限りです。
中二病真っ盛りの娘、帰宅後「今日はジャコの命日だったんだよ」と言ったら、「もしかして降臨してた?」とトンデモナイことを言っておりました(笑)。
ステージの最後には全く想定外の、理事長からのとんでもないオファーがありましたが(笑)、それもまた我が家にとりましては、実にありがたいお話でした。もう来年の秋田での国文祭が楽しみでしかたありません。
というわけで、最後に一番大切なことを。高校3年生の諸君、本当にお疲れ様でした。この3年の経験は絶対にこれからの人生に活かされます。とりあえずは、これからも音楽を続けて下さい。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 『東京音頭』を唄った三嶋一聲は20世紀の浦島太郎?(2025.02.12)
- S.L.ヴァイス 『パッサカリア ニ長調』(2025.02.09)
- 藤井風 『若者のすべて』(志村正彦)(2025.02.04)
- ラモー 『優雅なインドの国々より未開人の踊り』(2024.08.12)
- ロベルタ・マメーリ『ラウンドМ〜モンテヴェルディ・ミーツ・ジャズ』(2024.07.23)
「教育」カテゴリの記事
- 【戸塚宏】令和の今、体罰を語る(2024.08.20)
- いかりや長介と立川談志の対話(2024.08.19)
- 柔道混合団体銀メダル(2024.08.03)
- 祝! 舟久保遥香 銅メダル(2024.07.29)
- 仏様の指(2024.07.26)
コメント
初めまして。検索してこちらにたどり着きました。
私もこのリサイタルを見に行きました。
娘が幼稚園の年中さんだった時、音楽会のゲストとして初めて富士学苑のジャズバンドの演奏を聴きました。
その時はまだまだ初心者の演奏という感じでしたが、昨日拝聴してそのレベルの高さに驚きました。
10年の間にここまでのレベルに達したのかと思い、また学生達のとても楽しそうに演奏する姿に
彼らの濃密で充実した学生生活を見る思いがして胸が熱くなりました。
ベースの子が娘さんだったんですね。アドリブとかしないかなーと思って見てました。
とても素敵でかっこよかったです。
私はジャズは詳しくないので殆ど知らない曲ばかりでしたが、とても楽しかったです。音楽は宝ですね。
素晴らしい時間をありがとうございました。
投稿: おすわ | 2013.09.22 22:32