『プレゼンは話す順番が9割! なぜか説得できる人の「話し方」』 三橋泰介 (ゴマブックス)
昨日は総理のプレゼンを聞いて参りました。今日は自分が某公立中学校にてプレゼン&職場の若手プレゼン大会の審査。明後日は金メダリストとトークショー。
というわけで、今週はまさにプレゼン・ウィークであります。
仕事柄というか、性格的にかな、けっこうプレゼンは好きな方です。ま、目立ちたがりや&ハッタリ屋ということでしょうかね(笑)。
こうしてプログを書き続けているのも、結局はプレゼンテーションです。書き言葉の中で話し言葉が鍛えられるということもあるかもしれません。
さて、今日の自分のプレゼンですが、60点くらいかなあ。どうにも体育館が暑すぎたというのもありますが、想定したほど聞き手の皆さんの反応を引き出すことができませんでした。「場」を作りきれなかったということでしょうか。
続いて若手のプレゼンですが、これは本当に面白かった。面白かったというのは、みんないかにも日本人的な罠に陥っていたということです。
最後に講評としてちょこっと話しましたが、日本人はですね、謙虚で自分を卑下しすぎるんですよ。だから、ついつい「大した話はできませんが」とか「私の拙い話を聞いてくださって」とか「私は話が下手で」とか「何を言ってるのかわからなくなってしまいましたが」とか言ってしまう。
これはダメです。絶対にやってしまってはダメ。私はそういう謙虚さや未熟さへの反省は必要だけれども、それらをもって謝罪してしまったり、言い訳にしてしまわないで、全部「笑い」に還元してしまえと言うのです。
これはテクニックです。私も誰に教えられたわけではないけれども、たぶん優れたプレゼンを聴く機会を意識的に作ってきた中で学んできたことではないかと思います。
結局は、この本にもあるように、優れたプレゼンを聞く、見るというのが一番ですね。
若手がみんなまじめなプレゼンをする中で、一人だけ「ハッタリ」をかましてくれた先生がいました。それでいいんですよ。つかみは「ハッタリ」で(笑)。
そう、この本、「順番」と言っていながら、あんまり「順番」の話は出てこない。まあ、タイトルというのはそれこそ「つかみ」であり「ハッタリ」なので、別にそれでだまされたとは思いませんが(100円だし…笑)。
ただ、唯一「順番」らしいのもと言えば、第2章の『「つかみ」で「逆説」を使ってみる』でしょうかね。教師対象の講演なんかで言えば「教えるということは教えないことである」とか…私はこんなコテコテなこと言いませんけど(笑)。
私は「ハッタリ」の一つの技法として「逆説」はよく使ってますね。このブログでもそうですが、あえて世間一般とは違うことを言ってみて、それから自分で無理やり意味づけする。するとそこに自分でも気づかなかった「真理」が見えてくる…。
この本も冒頭でちゃんと「逆説」をかましています。
『アナウンサーである私が、敢えて言います。「美声」「腹式呼吸」は、ビジネスに一切関係がありません』
なるほど、読者が期待するであろうことをいきなり裏切っています。そして、ここから本質に迫っていく。よくある結論ではありますが、表面的な形式よりも「心」「本気」であると。
たしかにそのよくある結論を語らねばならない時にこそ、逆説は有効であるとも言えます。もちろん、ここで言う逆説とは、「相手の期待を裏切る」「相手の常識を覆す」ということです。つまり、第一印象を否定する。
それはすなわち、自分の得意としている部分、自信のある部分、自分のプロフェッショナルな部分、相手が自分に抱いているであろう既成概念をひっくり返すということです。これはたしかにインパクトがある。
前に書いたことと合わせるなら、自分の長所、得意技は否定し、自分の短所、弱点は笑いに還元するということですね。これだけでも、プレゼンは面白くなりますよ。
もちろん、そのまま終わってしまったら、自分のダメさ加減をプレゼンになってしまうので(笑)、あとでしっかり必殺技を出さなければならないんですけどね。
それから今日の若手のプレゼンと昨日の安倍総理のプレゼンの大きな違いは、やっぱり「声の強弱」と「間」でしょうかね。単調な音楽が退屈であるように、やはり全体として「音のドラマ」を作り上げることも重要です。
同じ話題を3分以上続けないというのも、そういうリズムやシーンに変化を与える一つのテクニックでしょうか。
それにしてもなあ、先生ってプレゼンテーションが仕事であるはずなのに、一般的にそれが下手とか苦手という人が多すぎる(苦笑)。生徒にとっては非常に可哀想なことであります。
少なくとも、一般企業なみにプレゼンの技術を身につける訓練をするべきだとつくづく感じました。
Amazon プレゼンは話す順番が9割!
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