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2013.07.25

フジファブリック 『虹』

 村正彦くんの音楽こそ世界文化遺産だ。
 今日ある方とそんな話をしました。
 いや、これは大げさな話ではなく、「文化」ということ、特に「芸術の源泉」としての富士山ということを考えると、まじめにそんなことを思わざるをえないのです。
 今、彼の作った「虹」を弦楽合奏曲に編曲しています。夏休み中、ウチの中学の弦楽合奏部で練習します。
 彼の音楽は聴いただけでも素晴らしいのですが、こうして楽譜に起こしてみるとますます感動します。やっぱり天才だったなと。
 この「虹」は彼の楽曲の中でもかなりポップな方だと思います。サビのコード進行はコテコテのアレですし、比較的変態的なところが少ない(笑)。基本的に他のメンパーによるアレンジによって楽曲の個性が生まれていると感じますね。
 しかし、たとえば冒頭のメロディーですが、いきなり非和声音の連続で始まっています。コードはAですが歌はずっとBの音が続きますよね。
 この浮遊感、どっかで聴いたことあるなと思ったら、全く同じ響きで始まる曲がありました。山の向こうのレミオメロンの、あの「粉雪」の冒頭です。久しぶりに聴いてみましょうか。

 山梨県特有の響きということで「生黄泉(なまよみ)節」と名づけましょう(笑)。ま、実際には非クラシック音楽にはいくらでも出てくる「不協和音」ですが。
 ま、こういうことも楽譜を書いていたりすると気づくんですよね。こういう発見って大好きです。
 さて、「山梨県特有」という話から、「文化」の話に持って行きましょうか。
 今日から富士山入山料の試験的徴収が始まりした。今年は登山者が増えますよね。世界文化遺産に登録されましたから。
 まあ、登録自体に反対だった私も、さすがにプラスにとらえようと自分の中で奮闘しておりますが、やっぱりいろいろ問題があるなあ…。
 今日もある方とそのあたりのことをじっくり話しました。文化遺産と言いながら、まったく「文化」を感じられない。「信仰の対象」は分かるとしても「芸術の源泉」の部分がはっきりしない。ここに来ても、その「芸術作品」を見たり聴いたりできないのですから。
 話にも出てきたのですが、私は志村正彦くんの音楽なんかがまさに「富士山を源泉とした芸術」の代表だと思いますね。
 いくら有名な画家や作家が当地を訪れて作品を残しても、それはやっぱり表面的な文化に過ぎない。素材としての富士山、対象としての富士山というだけではだめだ。
 文化は「culture」です。やっぱり「土地を耕す」「土地に育てられる」というのがないと。
 私は、文化を次のように定義しています。
「その土地の自然風土が、その土地の人間の生活を通じて具現化したもの」
 つまり、「自然風土」と「人間」の深い時間的関わりが必要なのです。
 だから、私は富士北麓に生まれ育った志村くんの音楽や詩に、あの富士山を強く感じるのです。ここに住まないと分からないかもしれませんが、たとえば、ここは富士山が南にそびえているおかげで、非常に寒く、土地も荒れて痩せています。
 そこから、ひと山越えただけで温暖で豊かな静岡や甲府盆地へのコンプレックスも生まれますし、逆に強い意志やある種の貪欲さも生まれます。
 ほかにもいろいろ挙げられますが、とにかくその土地の空気を吸い、水を飲み、作物を食べ、言葉を話し、そして山を仰いで、そしてそこに無意識的に生まれたモノこそが「文化」であると、私は信じています。
 そういう意味では、いつも書いているように、同じ山梨でも、フジファブリックとレミオロメンは対照的な部分がある。これはまさに郡内と国中の歴史的、文化的コントラストそのものですね。
 そんなような意味において、私は冒頭のようなことを言いたいのです。はっきり言って、この富士北麓地方には、ここ出身のアーティストがほとんどいません。移住してきた人、長く逗留した人はいますが。
 そんな中、志村正彦は、まさに富士山をルーツとした本物の芸術家です。
 ここを訪れる方々には、ぜひそんな彼の「芸術」「文化」に触れていただきたい。ただ「源泉」を眺め、「源泉」に登るだけでは意味がないのです。
 そういう場を創れないかなあ…冗談でなく真剣にそう思っています。

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告知

夏のフジファブリック学!
お待たせしました。概要をお知らせします。
8/5(月)13時下吉田駅集合。
市内を散策しながら「陽炎」について語り合ったのち、河口湖へ移動。湖上祭で「最後の花火」を見ます。
参加希望の方はメールにてお知らせください。
お待ちしております!

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