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2013.06.26

『人は死なない』 矢作直樹 (バジリコ)

ある臨床医による摂理と霊性をめぐる思索
20130627_63216 1年以上前に読んだ本。けっこう感動した、というか共感したのに、なぜあの時おススメしなかったのか。そこをそろそろ客観的に考察してみたいと思います。
 東大病院の現役救急医が「霊」「魂」の世界について語る。これは私からすれば当然といえば当然です。一般人よりもずっと人の死に接する機会が多いわけですから。
 医師は生きた人間ですから、そこに「心」があって、亡くなった方の「心」すなわち「霊」を、たとえば「心」の余韻としてでも感じるのは当たり前です。
 私個人としてはお医者さんこそ、そういう「霊性」に敏感であって、そこをベースにした科学的治療や唯物的考察をしていただきたい。そう思います。
 西洋科学は「自己」の「心」から離れることによって成立します。しかし、それは全体の「心」、つまり「霊」を離れることを意味しているわけではありません。仏教が自己を滅却して全体自身になろうというのと同じです。
 あえて二元論で言うなら、やはりこの世には「霊」と「体」(ワタクシ的にはモノとコトと言える)があり、そのバランスの中で私たちは生きており、どちらか一方を無視したり捨てたりすることはできません。
 古来日本は「霊=モノ」の国でした。その道を極めてきたと言ってもいいでしょう。そこに「科学=コト」が入ってきた。日本人は見事にそれを吸収していきました。もちろんベースは「霊=モノ」です。
 ただ、「霊=モノ」は言語化(意識化)できない存在ですから、どうしても情報化社会および貨幣経済社会が進行すると「体=コト」に押され気味になってしまいます。
 それがたとえば出口王仁三郎が糾弾した「体主霊従」の世界ということになりましょうか。王仁三郎は「霊主体従」に戻れ、「霊五体五」にせよと叫び続けました。
 そうそう、「霊五体五」に関してですが、私の解釈ではですね、「自分の中で50%50%にしろ」ということではないと考えられます。というのは、先ほどもちょっと書いたとおり、「霊」というのは常に「総体」だからです。一方、「体」は常に「個」です。
 だから、「霊五体五」というのは、個が集結して霊を体現せよという意味だと思うのです。「霊性の体現」のためには、実は世界のあらゆる生き物が一致団結しなければならないということですね。王仁三郎もまさにそれを目指したのでしょう。
 おっと、まただいぶ話がそれてしまいました。ええと、なんだっけな。あっそうか。1年前に記事を書かなかった理由を考察しようと思っていたんだ(苦笑)。
 そうですね、おそらく、昨年の今頃はまだあの震災のダメージが私の中にも色濃く残っていたのだと思います。
 矢作さんはもちろん震災を受けてこういう本を書かねばと思われたのでしょう。当然私もそう受け取って読んだわけで、結果として大変共感をしたのに、しかし言葉でその共感を書くことはできなかった。
 結局、私の「霊」の動き、震えは「体」たる言葉では表現できないと予感したのでしょうね。そういう意味では、矢作さんは非常に勇気があると思います。
 特に「人は死なない」というタイトルはすごい。ある意味「死」を認定するお仕事をされているのに、それを土台から覆してしまっているわけですから。
 いや、やはり、「死」を認定(コト化)することに本能的に抵抗感があるんでしょうね。それは人間として当然です。
 医学界でも賛否両論あったこの本、いろいろな立場からいろいろな視点で読む価値はあると思います。
 医学や科学について考える際の大切な視点を提供してくれるとともに、宗教や芸術の源泉としての私たちの「体験」について思いを巡らせるのにも有用でした。
 最近出版された矢作さんと葬儀のプロ一条真也さんの本も読んでみようと思います。

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