美空ひばりとボーカロイド
夜、私は一人留守番しながらNHK歌謡コンサートを鑑賞しました。
家族はカラオケへ。ボカロしばりカラオケです。
歌謡コンサートは「美空ひばりを歌い継ぐ」をテーマにそうそうたる歌手の皆さんが名曲の数々を歌い上げました。
かたやボーカロイド。非常に対照的な音楽(歌)体験ですね(笑)。
いや、しかし、私は不思議な共通点を見つけてしまったのですよ。美空ひばりとボーカロイドの共通点を…。
歌謡コンサート、実はけっこう大変なことになっていました。歌手と曲は次のとおり。
「愛燦燦」/石川さゆり
「柔」/島津亜矢
「哀愁出船」/田川寿美
「真赤な太陽」/伍代夏子
「津軽のふるさと」/松原健之
「終りなき旅」/平原綾香
「ひばりの佐渡情話」/森山愛子
「お祭りマンボ」/神野美伽
「川の流れのように」/キム・ヨンジャ
「人生一路」/川中美幸
すごいですよね。
しかし…みんな「下手」だったのです!いやいや、「下手」なんて言ったら失礼すぎます。なんというか、「あらら…」という感じ?
つまりですね、みんな緊張していたり、あるいは気合が入りすぎてしまい、全然「上手」じゃなかったのです。
もちろん皆さんそれなり以上の実力をお持ちのプロ中のプロでいらっしゃるのは間違いないし、及第点はクリアーしていると思うのですが、なんというか、美空ひばりさんのオリジナルの歌声がインプットされている私の耳(脳ミソ)には、どうしても「下手」に聞こえてしまう。
そのへんを、歌手の皆さんも分かっていらっしゃるのか、結果として緊張や必要以上の力みに襲われてしまっている感じがしました。
分かりますよ。なにしろ「神」ですから。神をカバーするわけですから。自分流に崩しすぎてもダメ。かと言って「完コピ」も無理。さあ困った…。
あの前川清さんも、そこはもう諦めて、こういう手段に出てしまった。これはある意味正解です(笑)。
それぞれ面白いほどに失敗している(失礼)と感じたのですが、中でテクニックの面ではほとんど無問題だったのは島津亜矢さんと平原綾香さんでした。
しかし、何かが違う。逆に違いが引き立ってしまっている…。
島津亜矢さんのデビュー当時の貴重な映像がありました。今もほとんど変わりません。ある意味天才少女。ちょっと聴いてみましょう。
うん、完璧。素晴らしい…のですが。本家の美空ひばりの「柔」を聴くと…
ふむむ、あまりに違う。神と人間というのはここまで違うのか。理屈ではなく根本からして違う。
平原綾香さんの「終わりなき旅」もありました。
うん、これもうまい。平原節を抑制して正攻法で歌っています。そうとう練習していますね。では、本家は…
ぐわっ…なかにし礼、三木たかし、美空ひばりという天才の仕事がここまでお互いを高め合うとは。恐ろしささえ感じます。
さてさて、一方の機械歌姫であるボーカロイドですが…彼女たちも「完璧」なんですよね。もちろん「完璧」の質は全く違いますが、「人間離れ」していることはひばりさんと一緒なんです。
だからカラオケで人間が歌うと、どうしても全く違うものになってしまう。ウチのカミさんみたいに「ものまね」で歌っても、やっばり違う。
ちなみに今日のカラオケでカミさんが泣いたのは次の二曲だそうです(笑)。
ん?泣く曲か?まあそれはいいや。
ボカロは常に同じように完璧に音程やリズムをこなします。当たり前です。しかし、ひばりさんは実は毎回全部違う歌い方をするんですよね。それでも全体としては常に動じない「完璧さ」がある。
いずれにしても、人間の歌い手たちにとっては厳しすぎる「歌神」たちなのでありました。
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コメント
ブログの内容と関係なくてすみません。
フジファブリック学でお世話になっている東京の中西です。実はだいぶ前に渡辺さんにメールで問い合わせをしたのですが、お返事をいただけなくて。聞きたかったのは、夏の集まりのことだったのですが、予定は決まっていますか?
12,13,14日で開催される志村くん生誕祭に行く予定なのですが、それに合わせての開催はないのかな、なんて思っていました。先生やほかのメンバーの方は生誕祭に参加されますか?一緒に行動をしてくださる方が見当たらず、少々心細く感じています。
投稿: 中西球紀 | 2013.06.26 11:39