『ウェブで政治を動かす!』 津田大介 (朝日新書)
この本もだいぶ前に読んでいましたが、なんとなく記事にはしませんでした。そういう時はだいたいあとで機会がやってくるものです。
今日がその機会のようですね。たしかに、ネット選挙運動が解禁になりましたし、政治家のネットでの発言がいろいろと取り沙汰されています(自殺者も出ました)から、いいタイミングだと言えましょう。
この本で津田さんが指摘し、また予測していたことが、ほとんどその通りに実現しつつあります。ネットに関する発言者としては、やはり津田さんは説得力のある方ですね。
ネット選挙活動については、明らかに日本は遅れていました。不自然なほどに規制されていたと言ってもいいでしょう。
民主党政権後期にはネット世論は明らかにアンチ民主党でしたから、とてもとてもその時の政権はネット選挙解禁なんてできなかったでしょう。
この本はまさに政権交代が起ころうかという時期に発売され、私もその流れの中で読んでいました。今思えば本当に不思議なことですけれども、私自身もネットを通じてほんのちょっとですが政権交代劇に参画していました。
私自身はネットで政治を「動かす」とは意識していませんでしたが、結果として間接的に「動かす」結果となったわけで、これはネット(ウェブ)の潜在力、私の言い方をすれば、「コト(情報技術)の極められたところに発生するモノ(霊的エネルギー?)」を期せずして強く感じる結果となりました(お前の思い込みだと言う声も聞こえてきますが…笑)。
私の感覚ですと、いつかも書いたように、ウェブ世界というのは実は非常に「自然」に近いのだと思います。そういう意味でも「モノ」性が高い。
実は今日、中学1年生の保護者対象の勉強会がありまして、「ケータイとインターネット」について語らせていただきました。そこでも話しましたとおり、インターネット(ウェブ)というのは、もともとアメリカによる情報戦略、世界を情報的に植民地化して管理する手段だったはずが、いつのまにか、その考案者、設計者自身もコントロールできない「自然状態」に向かっているように感じます。
私はそこに非常に前向きな希望を感じる人間です。
もちろん「自然」ですから、様々なリスクもありますし、一方で恩恵もたくさんあります。あるいは進化の可能性、絶滅の可能性も内包していると言えます。しかし、全体としては、リアルな自然に対する絶対的な信頼と同様に、人間の作り出した「自然」に対しても信頼をおきたいのですね(ちなみに似たレベルでの世界的なシステムである「貨幣経済」は不自然だと私は解釈しています)。
そういう意味において、今回のネット選挙解禁というのは、今はどうであれ、今後政治の世界に非常に大きな変革を迫るものになると予感します。
民主主義における「民意」の理想が、もしなるべく「編集」過程の少ない「自然」なものへ向かうとするなら、ウェブ(ネット)は明らかに私たちをそちらに導くことになるでしょう。
それはシステムとかテクノロジーとかストラテジーとかリテラシーとかの次元でなく、もっとある意味「本能的」な部分で、です。
それはすなわち、一方で、編集されていない「私」という非常に根源的な、丸裸な「自己」を要求される事態をも意味します。
つまり、いよいよ個人個人の魂のレベルが試される時代になるということですね。アセンションという言葉を安易に使うのには抵抗がありますが、今回の流れの中では、ちょっとそんな言葉も自分の中でリアリティーを帯びてきたような気がします。
ネット選挙について(総務省)
Amazon ウェブで政治を動かす
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