『40代、職業・ロックミュージシャン』 大槻ケンヂ (アスキー新書)
大人になってもドロップアウトし続けるためにキッチリ生きる、'80年代から爆走中、彼らに学ぶ「生きざま」の知恵
今日は中学校の説明会。盛況のうちに終了。感謝感謝です。
縁というのは本当に不思議なもので、参加者の中に私の最も尊敬する「40代ロックシンガー」の息子さんもいらっしゃり、地味に(心の中では派手に)喜んでしまいました。
そして、ちょうどいいタイミングでこの本を読みました。あんまり面白くて1時間ちょいで読破。
私も実は「心のプロレスラー」「心のロックミュージシャン」を標榜しておりまして(?)…というか、本来男ってそうあるべきでしょう。
どんなに社会的に「立派」になっても、スピリットの部分では、どこか「中二病」(この本の中には「高一感」という言葉が出てきます)であり続けたいと思っている。そう思っていない男は死んだも同然です。
ですから、実際に40過ぎてもプロレスラーであったり、ロッカーであったりする「男の中の男」を見ると、尊敬と憧れとジェラシーの念がフツフツと湧いて(沸いて)くるわけであります。
大槻ケンヂさんは、けっこう現実的な人だし、繊細で案外に慎重派であったりするので、対談相手の錚々たるAC(子ども大人)たちに対して、私たち一般人40代と同じように感動しているのが伝わってきます。
それがこの本の良さでしょうね。大槻さんが微妙に非現実と現実の架け橋になっている感じがするんです。
それにしても、まあ、なんというか、哀愁というか悲哀というか、それをロックは一種の笑いに昇華する力を持ってますね。
一歩間違うと…というか、一般社会においては、彼らの生活や言動やファッションはほとんど犯罪に近いものがあります(笑)。
それが、ロック(あるいはプロレスも)という「職業」のおかげで不思議と許されるというか、プラスに転じている。なんともうらやましい話でもあります。
私なんか、かなり破格とはいえ、いちおう「学校の先生」という、まあ一般常識的には「非ロック」「非プロレス」な職業につき、それも教頭なんていうなんとも自分に似つかわしくない役職を拝命してしまって、ある意味ではハメをはずしにくい人生を送っています(と言いつつ、かなりやらかしていますけど…笑)。
でも、やっぱりスピリットはこうありたいじゃないですか。少なくとも彼らに憧れていたい。
それが子どもたちにも伝わると思いますし。こういう大人になりなさい!とは言えないけれども、こういう大人もいるということを示したい。どっちを選ぶかは自由だけれども、ただ「大人はつまらない」とは思われたくない。というか、日々の面白さにおいては子どもたちに負けたくないんですよ(笑)。
この本に登場する40代(50代もけっこういる)ロックミュージシャンたち、私にとっては非常に懐かしい方々であり、そういう方々の近況を知るのにも、あるいは最近のロック界の状況を知るのにも、この本は有益でした。
そして、なんていうのかなあ、とっても共感したのは、人間なんて40になってようやく一人前なんだよなあってこと。
大槻ケンヂさんが、40になったら性欲が減退して自分が純化された、ライブのためにライブをするようになったみたいなこと言ってますけど、なんとなく分かりますね。一般人ももう40にもなると「モテたい」とかあんまり思わなくなります(笑)。
それでようやく見えてくる世界というのはありますよ。それまで、フィルターがかかっていたんですよ。「下心」っていう(笑)。
それが削ぎ落とされて、ある意味透き通った美しい世の中が見えてくるんですよね。それは一種の「悟り」だと思います。
私もそんな実感があるので、彼らがみんなどこか大人になりながら、逆に小5以前の純粋な子どもに帰っていっているような気がして、ちょっと感動したんですよね。
ワタクシ的に特に面白かったのは、ダイアモンド・ユカイさんの「恋愛と結婚」「バラとタンポポ」。たまりませんね。昭和の天才の風情があるわ(笑)。
と、こんな感じで、結局はこの本の中には、赤ん坊から大人までの「男の人生」がいろいろと詰まっていました。
だからいろんな世代の「男」に読んでもらいたい。ぜひ。
そして、俺、なんか急にロックやりたくなってきたぞ…。
Amazon 40代、職業・ロックミュージシャン
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