『お笑い芸人に学ぶ ウケる!トーク術 昨日起こった出来事を面白く話す方法』 田中イデア (リットーミュージック)
つい先日、教え子の女の子から衝撃的な「すべらない話」を聞きました。笑っちゃいけない話でしたが、思いっきり笑っちゃいました(笑)。
その子はある大手広告代理店で活躍中の、まあ芸人さんみたいなヤツなので、そのトーク術が見事だったわけですよ。まるでよくできたプレゼンのごとく。
きっとホンモノの芸人さんも職業病で、自分の不幸話とか面白く話しちゃうんでしょうね。
私も仕事柄、かなりトークを重視している人間です。というか、私の教え子たちにとっては、私の授業の思い出はほとんどがくだらないトークばかりでしょう(笑)。
今日も脱線しまくってましたし、隣の教室に御迷惑をかけるような大爆笑の嵐でしたね。
いや、笑いというのは健康の秘訣ですからね。真剣な時と笑っている時の、両方がないと勉強も絶対にはかどらない。遺伝子も心や脳も笑いによってかなり活性化しますから、学校というのは本来笑いに満ちていなければならない所でしょうし、教員の資質の中にもそういう部分は大いに要求されていいはずです。
そんなワタクシにとって、この本はなかなか有用な教科書でありました。もちろん、ここに書かれているとおりのトークをすればいいというような、マニュアル的なものでないことは承知の上でですね、それでもやはりプロの芸人さんに学ぶというのはとても大切ですよ。
なるほど〜そういうところにも気を遣っているのか、という感じです。つまり、本当にウケるためには、ネタだけでなく料理法も重要だということです。その料理法には当然立派な歴史や伝統があるわけで、それを学んでおく、つまり過去のお笑い偉人たちの知恵を知っておくということは有意義なことなのです。
実際の「すべったトーク」の例を挙げてくれているのがいいですね。すべらないトークではなくて、悪い例を提示してくれているので、より自分のレベルで共感できる。シロウトの陥りやすい罠がはっきり書かれているわけですから。
そこを注意するだけでも、私たちはかなりいい先生になれるでしょう(笑)。変な話、面白い先生は「いい先生」と言われる可能性が高い。
まじめな教師論的に「厳しい先生(面白くない先生)ほどいい先生」だということを立証することは、そんなに難しくないと思いますけれど、それってやっぱり「今の」生徒にとっては、後付けの理屈に過ぎないんですよ。
そこはちゃんと認めた上で、ただの「面白い先生」に+αできるかが問題なのです。
だいいちですね、「面白い」と思われるためには、実はネタやテクニックだけではなくて、根本的な人間性というのが問われるわけですよ。
同じこと言われても「ムカつく」場合、あるいはショックを受ける場合があります。ちょっと想像すれば分かります。
ウチの学校の職員室の会話なんて、それこそ活字にしてしまうとトンデモない内容ですが、実際にはそれが健康的な笑いに昇華されている。それは日々の生活の中で絶対的な信頼関係が成り立っているからです。
そういう意味では、この本を読んだからといって、ほんとうにウケるトークができるようになるかというとそんなことはない。当たり前です。
しかし、私なんかも実はそうなんですけど、先に「笑い」から入って信頼に持っていくという、そういう道筋もあるんですよね。
だから、この本に書かれているある種のテクニックを随所でうまく使って、そして、人間関係を構築していったり、あるいは自分の人間性を磨いていったりするといいですね。フリ(緊張)とオチ(緩和)…これは音楽などにも有効ですな。
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