『うまい謝罪』 間川 清 (Nanaブックス)
5つの基礎と6つの応用技でマスターできる
橋下さんも「謝罪」しましたね。あんまり「うまい謝罪」ではありませんでしたが。
仕事柄「謝罪」の機会がけっこうあります。自分が謝罪するのはもちろん、生徒に謝罪させる時もあるし、保護者が謝罪してくることもある。
そう、そうなんですよ。「謝罪」も教育の大切な要素です。というか、教育の場であり、また教えるべきテクニック(処世術)の一つでもあります。
そういう現場に長年いるからかどうか、私はかなり「謝罪」に関しては「うまい」方だと思います。いや、「うまい」なんて言うと、それこそ単なるテクニックで心がこもっていないのではと疑われそうですが、そういうことではありません。
簡単に言えば、「謝罪」をお互いにとって非常に大切な「きっかけ」とすることができるという意味です。
「謝罪」は大変に濃い究極のコミュニケーションの様態なのです。だから、「謝罪」は本音でなければならないのは当然。その上に立って、そこにいかにプラスの価値を見出していくか。そこが問題であり、ある意味技術を要するところです。
実を言うとですね、私、謝罪がうまいなと自分で意識したのは、小学校5年の時なんです(笑)。もうその時から戦略的謝罪にも長けていた(?)。
ちょっと書くのは憚られますけれども、小学生の時からちゃんと自分の「謝罪哲学」というのがあった。それは今でも充分に通用するような見事なものです(自分で言うのもなんですが)。
私の人生の根幹に関わる部分なので明記はしません。ごめんなさい(謝罪)。しかし、たとえば、このブログの文章術にも、その「謝罪哲学」は活きています。
このブログでは、けっこう過激なことや、敵を作りそうなこともじゃんじゃん書いてきました。そして、おかげさまて9年間毎日2千人くらいの人に見てもらっているんですが、あんまりコメントがつかないし、ましてや炎上なんてこともない。
これって実はその「謝罪哲学」のおかげだと思っているんです。最初から「謝罪」しているのか?というと、そういう意味ではなくて…なんとなく分かりにくい表現でゴメンナサイ(謝罪)。
ま、「和の精神で言向ける」ことを心がけているとでも言ったらいいでしょうかね。いつも書いているとおり、「荒魂」が「和魂」の強化につながるということを信じているんですよ。
だから単に相手を怒らせないとか、敵を作らないとか、お世辞やおべっかやごますりで固めるとか、そういうテクニックではなく、言いたいことを言い切りつつ、ほとんど無限で未知の他者に対する「思いやり」は忘れないようにしているんです。
逆に言えば、そうした表現経験が実生活における「謝罪力」を強化したと。うん、そうだ。書いてみて自分で納得しました。
お互いにとって「謝罪」という場は、のっぴきならない負の場でありますが、それによってお互いの人間性が高まったり、お互いの信頼関係が醸成されたり、まさに平和に向けて成長していく機会にもなりうるんです。私はそのことを絶対的に信じている。
この本にも、「謝罪」によって逆に評価を高める方法などが書かれています。私も経験的に「そうそう」と思う記述が多数ありましたし、さらに「なるほど〜」と思える新しい発見もありました。
もちろん、司法の場やビジネスシーンと教育現場は違うとは言え、大いに学ぶところはありましたね。
とにかく相手の話を聞くところから始める。自己保身のための言い訳や、自分の論理的な正当性などを主張することよりも、まずは相手の立場になって共感するところから始める。これは「謝罪」に限らず、全ての人間関係、コミュニケーションにおいて基本中の基本なのではないでしょうか。
つまりは、「無我」「無私」「自他不二」の境地になれということですね。「謝罪」はそのための修行の一つなのかもしれません。
個人や組織での「謝罪」だけでなく、国家間の、たとえば日韓間の歴史認識の差による「謝罪問題」などについても、いろいろ書きたいところですが、今日はこのへんでやめておきます。
今日たまたま仲小路彰のある文章を読みました。アジア諸国に対する「謝罪」についても書かれていました。そこには「謝罪」は「屈辱」かもしれないが、その「屈辱」から新たなものが生まれるとあります。その新たなもの誕生のために、堪え難きを堪え、忍び難きを忍ぶことができるのが日本人なのだと、私も信じたいと思います。
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