「和」の精神の源泉…ニギハヤヒ
仲小路彰のお弟子さんから稀覯本「夢殿の幻〜聖徳太子の救世悲願」をお借りして拝読しております。
非常に重要な記述が満載で、まさに目からうろこが落ちまくっています。その歴史学、哲学、文学を軽く包括する視点と洞察力の鋭さ、いや広さに驚きを禁じえません。
その中で、非常に印象に残ったことがあったので自らの備忘のために記しておきます。
聖徳太子の「和」の精神、あるいは「大和」の「和」について、以前私は『和』の精神とは…その1と『和』の精神とは…その2という記事を書いています。
これらの内容については、今の私もほとんど同意します。私個人のレベルとしては精一杯の思索の産物ですから。
しかし、当然100年に一人、いや1000年に一人レベルでの天才である仲小路彰は、もっともっと広く深い思索を巡らせています。
私はそこから本当に様々なインスピレーションを授かっています。その一つが今から書くことです。
さて、私の記事では、「もともとの日本人は『和』で表されるような概念は全く持っていなかった」と書いていますが、のちに「和」の字を当てられた和語はいくつかあります。
たとえば、言向け和すの「やはす」や「やはらぐ」、和え物の「あふ」などですね。
そして忘れてならないのは、古来神道で呼び習わされている「和魂(にきたま・にぎみたま)」の「にき・にぎ」です。
仲小路は当然そのことに触れています。蘇我氏による物部氏滅亡への挽歌を物語調に描く中で触れています。
仏教導入を支援して物部氏を凋落させた自らの行動になんとなく釈然としない太子は、物部氏の祖先がニギハヤヒであり、また三輪山に祀られているのが大物主があることに思いを馳せます。
ご存知のように、大物主は出雲の大国主の和魂として登場する神様です。すなわち、太子が滅ぼさんとしてしまったのは、自らの敬愛する古代日本の象徴である大物主(おそらく=ニギハヤヒ)であったと気づいてしまうのですね。
そこで、蘇我・物部の抗争に象徴されるような「荒玉」ではなく、「和魂」こそが日本の未来のために本当に必要な魂であると悟るわけです。
和魂(にぎみたま)は幸魂(さちみたま)と奇魂(くしみたま)の融合体です。現代風に言えば、幸運と奇跡の魂。それはある意味では「他力」ですよね。幸運も奇跡も「訪れる」モノですから。
「和の精神」というと、ついつい「調和」「和合」というふうに解釈しがちですが、実際には饒速日(ニギハヤヒ)の象徴する縄文文化の「他力性」、まさに「惟神(かんながら)」を表す言葉だったのではないかと、私は思い至りました。
実はまだここから「物語」は続くのですが、今日はこのへんにしておきますね。また、いずれしっかりまとめようと思います。
まずは、「夢殿の幻」全三冊を完読しなければ。聖徳太子の夢、すなわち日本の、いや地球の未来のためです。
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コメント
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投稿: 羽生田登 | 2016.05.19 07:41