『決定版 日本史』 渡部昇一 (育鵬社)
だいぶ前に楽天で電子書籍版を購入しkobo Touchで読み始めたんですが、なんだかフリーズしたりするようになってイライラして放置していたんです。ベージがめくれないとか、まるでペーパーナイフを必要とする昔の本みたい(笑)。
で、しばらく忘れていたら、昨日iOS用のkoboアプリが出まして、それで一気に読了いたしました。
いや、タイミングが良かったんですよ。これもまた必然だったのか、今日読んだからいろいろよく分かった。フリーズしたのも日本の神様の仕業かもしれない!w
う〜ん、なるほどねえ。安倍総理が脱却しようとしている「戦後レジーム」とはなんなのか、よく分かりますね。
私は単純な保守派ではないので、こうした「日本史」を全て鵜呑みにしている人間ではありませんし、なんでもGHQやコミンテルン(やイルミナティー)のせいにするような陰謀論に与する人間でもないし、だいいち「自分流日本史」あるいは「別潮流日本史」を勝手に編纂している人間なので、この本もまたあくまで一つの視点として読んでいるつもりです。
ただ、比較するならば、やはり現行教科書の日本史よりはずっと「事実」に近いという感じがします。
渡部さんも竹田さんと同様に神話から建国の歴史を語り始めていますが、まあそこのところは、私はいわゆる事実の記述としての歴史とは峻別するべきだと思います。つまり、その神話は時の政権が創作した「歴史」であるわけです。
そこのところは置いておくとして、やはり大東亜戦争(太平洋戦争?)を中心とする戦前、戦中、戦後史の部分は面白いですね。渡部さんの筆力もそのあたりでは極端に高まっていて、一種の迫力を感じます。
最近、続刊とも言える「歴史の真実から甦える日本」も発行されました。こちらも読んでみたいと思います。安倍政権になって渡部先生、より気合が入っているのではないでしょうか。
しかし、私としては一方で物足りなさも感じますし、ここで満足できない部分もあります。それは最近、とんでもない「別潮流日本史」に触れているからです。
そう、最近何度も何度も登場しますが、今、あの仲小路彰の「歴史」を読んでいるのです。実際のところ、私が読んでいる彼の本は現在ほとんど入手できませんから、ある意味本当の日本の歴史を知りつつあるのは、この世界で私だけかもしれない…なんていう妄想が起こるほどに画期的な歴史解釈なんですよね。
そこからすると、正直こうした「決定版」さえも、なんとなく薄っぺらいものに感じてしまう。
違う言い方をすれば、そろそろ保守だ革新だ、右だ左だという二元論的なイデオロギー(ごっこ)から脱却すべきだと思うんですよね。そう、実はそれこそが「戦後レジーム」であって、それこそGHQやコミンテルンの思うつぼ状態(あるいは彼らの想定以上に勝手に我々がゲームにはまってしまっている?)なのではないか。
そんなことさえ感じるほどに、仲小路彰の語る「歴史」はあまりに豊かなものなのです。
生前、彼のもとに集まった人たちは、完全にイデオロギーの垣根を越えていました。右も左も超大物ばかり。
そして、仲小路彰は彼をもとめてやってきた人たち全てと面会したわけではありません。何度願っても、いくら金を積んでも絶対に会ってもらえない人もたくさんいました。それも超大物、名前は挙げられませんが、この「渡部版 日本史」にも登場してくる人たちです。
その選択の正しさもまた、この本を読んで確認できた次第です。
歴史に記述された人物には、正直人間性は表れません。本当の歴史はその人間性が作るものなのでしょう。そういう意味で、仲小路彰はその歴史的人物たちの人間性(魂のレベル)を見抜く力に優れていたようです。
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