『国語が子どもをダメにする』 福嶋隆史 (中公新書)
校長先生が貸してくれました。「先生と同じこと言ってるよ」と。
たしかにあまりに言っている(怒っている?)内容が同じなので、まるで自分が書いたのかと錯覚を起こしてしまいました(笑)。
国語が道徳になっている。論理的思考力よりも豊かな感性を重視している。古き良き日本を継承する場になっている。センター試験では小説は出すな。出すならせめて短編を全編出せ。センター国語は情報処理。インプットよりアウトプットを。鑑賞と創作に関しては芸術科目「文学」として独立させよ。
こんなことをこのブログでは散々書いてきました。やはり私の「国語」観のベースが、理系的発想と直接お世話になった大村はま先生と出口汪先生にあるからでしょうね(あるいは反向山洋一も?w)。
実際に各種の研修で上記のようなことを吠えたり、大学入試センターに物申したり、いろいろやってきましたが、なかなかまとめる機会がなかったんですよね。そうしたら全く同じような内容で福嶋さんが書いてくれた。ラッキーでした。
私と福嶋さんの共通点をあえて探すと石原千秋さんの本を読んでいるということでしょうか。
そう、この石原さんの本の紹介記事にも妙なコメントがついてるじゃないですか(笑)。私はそんなに全然気にしない、どころか、それをまたネタにさせてもらう(授業で使わせてもらう)ような人間です。
でも、こうして福嶋さんが矢面に立ってくれるのは、正直助かりますしうれしいところです。ありがとうございました。
私は、私の現場においては、基本私の理念理想を貫いています。国語の裏のメイン教材は出口先生の「論理エンジン」ですしね。中学3年間でOS5までひと通り終わらせています。
ふくしま式と出口先生の論理エンジンが似ているのは、ある意味当然でありましょう。
福嶋さんの「言いかえる」は出口さんの「イコールの関係」、「くらべる」は「対立関係」、「たどる」は「因果関係」ですよね。
なぜなら、これらは世界共通語たる「論理」の王道だからです。それを日本の学校では誰も教えて来なかった。
もちろん、豊かな感性は大切です。たしかに日本語は情緒豊かな言語です。しかし、それだけではダメなのです。何事もバランスが大事。
だから、私が文科大臣になったら、国語とは別に、音楽や美術ととにも「文学」という教科を作るんです。
国語は「日本語」にすべき…いや、「国語」でもいいか。その代わり日本史も「国史」にすべきでしょう。
「文学」の教員免許も新設しなければ。面白そうですよね、それはそれで。
最近では、私は「なぜ戦後国語教育がこんなことになってしまったのか」の方に興味があります。前にも書きましたが、これって決してGHQのせいじゃないんですよね。
アメリカはどちらかと言うと欧米式、すなわち「言語」教育に振りたかった。実際一時期「国語」は「言語」と「文学」に分かれました。しかし、保守的な国語教育界が、結局「文学(道徳)」の方に戻してしまった。
実はここにこそ、日本人的な「国語観」が表れているとも言えます。誰が悪いというわけではない…。怒りの矛先を向ける「敵」がいないというのが実情なのです。
そういう意味では、この本での福嶋さんの口調はちょっと「怒りすぎ」かなあ。せっかく正しいこと書いてるんだから、もう少し冷静でも良かったかと。前書き、後書きだけでも、相当喧嘩売ってますよね。
媒体に合った日本語を使うのも一つの「論理的思考力」かもしれないなあ、なんてなんとなく思ってしまったのでした。
…と、全然論理的でない文章を書いてしまいましたが、ま、これはブログだからいいことにしよう(苦笑)。
さあ、明日は全国学力・学習状況調査です。どんな国語の問題が出題されることやら。
Amazon 国語が子どもをダメにする
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