「イケメン」についての考察
「イケメン過ぎて国外退去」というニュースが(笑)。
なるほどムスリムならあり得る話ですね。古今東西を問わずイケメンは罪なものです。
罪なものだからか、こうして罰も被ります。
私もイケメンですからけっこう大変です…なんていうありがちな冗談はやめておいて(笑)、まじめにイケメンについて考えてみます。
まず語誌的な考察から。
イケメンとは、一般的に「イケてる面」と「イケてるmen」の掛詞だと解釈されています。おそらくそれで間違いないでしょう。
wikiによれば、「egg」1999年1月号で編集者の矢野智子が「イケてるメンズ」の略として使用したのが最初となっていますが、のちに対義語である「ブサメン」が登場したあたりから、「面」という字も当てられるようになったと考えられます。
かと言って、女子には使われませんから、やはり「men」の意味が強固に内在していることが分かります.
最近では中間体である「フツメン」というのもありますね。二元的には分類しがたいのが、人間の美意識の難しいところです。
さらに最近では「キモメン」とかいうのもあります。それはどうも「ブサメン」よりも情緒的な判断価値基準が働いているようですね。そういう意味では「ブサメン」よりも厳しい言葉のような気がします。
さらには同じ「イケメン」という発音でも「逝け面」という漢字が当てられるネット・スラングもあるようで、ますます状況は混沌としてきております。
はたして自分はこの4(5)分類のどこに当てはまるか…気になるところではありますが。
まあ、このように混沌としてくるということは、やはり「イケメン」と一言でくくって賛美するには躊躇されるくらい、人間の総体的な評価というのは難しいということなのですね。
たとえば、「面」が意識される一方で、逆に「顔だけじゃダメ」というカウンター意識も生まれてくる。
実際の「イケ面」に話を聞くと、第一印象のハードルが高すぎて、ものすごく大変だとのこと。つまり、内面の「フツmen」「ブサmen」ぶりと、外見の「イケ面」ぶりとのギャップに悩む不幸な「イケメン」が多いということですね。
ギャップ萌えというのがありますが、当然その逆であるギャップ萎えというのもあるわけでして、もしかすると冒頭のアラブ系イケメンも、写真ではたしかにイケメンではあるけれども、人間性や行動の癖においては「ブサメン」かもしれないし、ファッションセンスがダメダメかもしれないし(あっ、でもこのイケメンはファッション写真家だからそれはないか)、もしかすると足がものすごく臭いかもしれないし、もっとリアルに言うとアソコが…いや、それはやめとこう。
そういう意味では、じわじわと人間性等で勝負できる「フツメン」や「ブサメン」の方が幸せかもしれませんね。よかった〜(笑)。
もちろん、イケメンのくせにダメダメなところが萌えというケースもある(たとえばあの人とか)ので、一概には言えませんけどね。
そうそう、「性格がイケメン」という言い方も聞きますよね。これはうれしいような、ある意味哀しいような(笑)。
ところで、「イケてる」という言葉ですが、これは不思議な言葉ですね。「イケてる」自体は1998年の流行語です。
これって、文法的には「行く」の可能動詞「行ける」+存続の「ている」の省略形「てる」ですよね。
「いける」は当然「can go」の意味そのものではなく、「なかなか良い」という意味です。おいしいとか、上手だとか、そういう意味で江戸時代からすでに使われています。お酒がいける口なんていうのもありますね。
ちなみに18世紀末の雑俳に「かた思ひそのくせいけるつらでなし」というのがあります。これなんか、「イケる面」ということですから「イケメン」のはしりと言えそうですね。
その「イケる」に「てる」がつくとどういうニュアンスになるのか。これは難しいが面白い。
基本的に「存続」ですから、現在進行形な感じがして勢いが感じられますね。「持ってる」とか「盛ってる」なんていうのも、そういうリアルな勢いを感じる。
省略されて「イケメン」となると、そのせっかくつけた「てる」が表面上は消えてしまうわけですが、しかし、我々の意識の中にはちゃんとその勢いが生きているから、これは実に面白い現象ですね。
はたしてこの比較的新しい四拍略語、いつまでその命脈を保つのか。10年後くらいに「死語」の認定を受けているのか。
だいたいですね、「イケメン」の基準が変わりますからね。光源氏や光GENJIが現代において「イケメン」であるかは微妙です(笑)。上掲のオマールさんもまた。
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