(今こそ)五箇条の御誓文
今日はお世話になっている若手ヴァイオリニストのリサイタルを聴きに横浜へ。
なんだか今日はとにかく寒くて寒くて、体の調子も狂ってしまいました。桜もそろそろ散り始めかなという感じでしたが、その体感風景と実視風景のギャップに、頭の調子も狂ってしまったりして。
そんな時には、急にとんでもないことを思いついたりするものです。
今日は横浜の街を歩きながら突然「五箇条の御誓文」が降って来ました(笑)。いったいなんなんだ。
横浜が開港したのが1859年。その8年後、大政奉還、王政復古が実現し、翌年元号が明治に変わりました。そういう意味では、たしかに横浜という街が明治維新に果たした役割というのは決して小さくないですね。
そして、1868年4月6日、満15歳だった明治天皇によってこの御誓文が発せられました。
私もそうですが、学校の歴史のお勉強で必ず覚えさせられるこの「五箇条の御誓文」。いや、名称は覚えるけれども、なかなかその中身を味わうことはありませんよね。
この御誓文、シンプルながら非常に素晴らしい内容になっていると思います。
昭和21年の人間宣言の際、昭和天皇が全文を引用していることからも分かるとおり、実は現在においてもその精神、そしてその国体観は生きていると思います。
しかし、一方で生きているのに死んでいる。それも事実であると思います。
明治維新、そして大東亜戦争終戦後と、二度の国体のピンチに表に出た御誓文。私は今こそその中身を国民がしっかり味わう時だと思います(というか、突然思った)。
皆さんと一緒に改めて読んでみたいと思います。たった5ヶ条ですから、ぜひ。
まず有栖川宮幟仁親王が揮毫した御誓文の原本から(のちの写本は「経綸」を「経論」と誤写しているものが多い…苦笑)。
活字にしてみましょう(漢字は新字体に改めます)。
一 広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スベシ
一 上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸ヲ行フベシ
一 官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ゲ人心ヲシテ倦マザラシメン事ヲ要ス
一 旧来ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クベシ
一 智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スベシ
我国未曾有ノ変革ヲ為ントシ朕躬ヲ以テ衆ニ先ジ天地神明ニ誓ヒ大ニ斯国是ヲ定メ万民保全ノ道ヲ立ントス衆亦此旨趣ニ基キ協心努力セヨ。
明治神宮のホームページより口語訳を拝借します。
一 広く人材を求めて会議を開き議論を行い、大切なことはすべて公正な意見によって決めましょう。
一 身分の上下を問わず、心を一つにして積極的に国を治め整えましょう。
一 文官や武官はいうまでもなく一般の国民も、それぞれ自分の職責を果たし、各自の志すところを達成できるように、人々に希望を失わせないことが肝要です。
一 これまでの悪い習慣をすてて、何ごとも普遍的な道理に基づいて行いましょう。
一 知識を世界に求めて天皇を中心とするうるわしい国柄や伝統を大切にして、大いに国を発展させましょう。
これより、わが国は未だかつてない大変革を行おうとするにあたり、私はみずから天地の神々や祖先に誓い、重大な決意のもとに国政に関するこの基本方針を定め、国民の生活を安定させる大道を確立しようとしているところです。皆さんもこの趣旨に基づいて心を合わせて努力して下さい。
どうですか。いつの時代にも通用する内容ですよね。聖徳太子の十七条憲法にも通ずるところがあります(十七条憲法も全て読み直すべきです)。
次の昭和天皇のお言葉も興味深い。実は民主主義というのは日本古来の伝統であったということですね。
「民主主義を採用したのは明治大帝の思召しである。しかも神に誓われた。そうして五箇条御誓文を発して、それが基となって明治憲法ができたんで、民主主義というものは決して輸入物ではないということを示す必要が大いにあったと思います… 昭和52年(1977年)8月23日記者会見」
私もこれを機会にもう一度日本の民主主義について、そして日本の国体、さらには経綸について考えてみようと思います。皆さんもぜひどうぞ。
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