贅沢な水晶婚式でした。
気がついたら今日は結婚記念日。ところで何年目だ?ということで、カミさんと指折り数えたら15周年でした。
結婚15周年って何婚式?…調べましたら「水晶婚式」とのこと。
では、二人で出かけるか、ウチらしいプチ水晶婚式をしよう、ということになりまして、子どもには留守番を命じて、二人高速バスで江戸へ向かいました。
まず最初に向かったのはシャンソンライブハウス四谷「蟻ん子」。本来は家内と私の母という嫁姑ペアで行く予定のところに、私が急遽参加という形です。
私は実は初シャンソン体験…いや、美輪明宏さんのディナーショーに行ったことがありますので2回めでしょうか。でも、ライブハウスという場での生シャンソンは初めてです。ちょっとドキドキ。
まず結論から申しましょう。本当に素晴らしかった。感動しました。歌はいいなあ。日本語はいいなあ。日本人は歌のもとに平等だなあ。
しますえよしおさんの超プロフェッショナルな歌はもちろん、朝吹タツヤさん、坂田エリさんの歌、雄太くんのピアノも素晴らしかった。なんとも贅沢な3時間半でした。
なんと言っても感動したのは、日本を代表するシャンソン歌手しますえよしおさんが、私たち二人のために「愛の讃歌」を歌ってくださったことです。実にスペシャルな水晶婚記念になりました。本当にありがとうございました。
本当に久しぶりに心にしみる歌、美しい日本語を聞いた気がしましたね。言葉の陰影。美しい子音。美しい母音。
あらためて日本語というのは「歌」のための奇跡的な言語だと思いました。開音節(基本全ての音が母音で終わる)であることによって、必ず母音が余韻として残る。それこそが日本語の言霊だなと感じました。
シャンソンやカンツォーネを日本語で歌うことの意味が、実は今までよく分からなかったのです。今回しますえさんたちの歌を生で聴いて、古来日本が漢語や英語を日本的な発音にして輸入してきたことの意味も含めて、ようやく腑に落ちました。
歌と言葉と意味の力にすっかり打たれてしまったのです。今日、しますえさんともお話しましたが、楽器をやる人間として、歌は最高のお手本なのです。なぜなら、特にヴァイオリンなどの音が持続する楽器は、常に子音と母音のコントロールを迫られるからです。
いや、実際のところ、ピアノのような「鳴りっぱなし」楽器においても、母音のコントロールというのは意識の上では避けて通れないものです(そういう意味では今日の雄太くんのピアノはお見事でした)。
しますえさんも朝吹さんもお見事な母音のコントロールでした。日本語シャンソンは、ある意味フランス語風にするために、音節を詰め込んだり、語尾を減衰させたりしますよね。そのおかげで、微妙な母音のコントロールという新しい文化が生まれたのだなと感じました。単純に日本語の歌を歌うよりも高度な「言霊術」です。
それにしてもやっぱり日本語の歌はいい。シャンソンやカンツォーネも良かったけれども、やはり私の心に残ったのは「津軽海峡・冬景色」「あざみの歌」「星の流れに」「群青」などでした。
日本の歌、それは私の専門分野である和歌も含んでの「歌」です。渡部昇一さんがおっしゃるように「日本人は歌のもとに平等」なんですよね。いや、もっと言えば「世界は日本語の歌のもとに平等」なのかもしれませんね。
それから、ライブハウスでの音楽って改めていいなあと思いました。あの距離感。出演者が一人ひとりのお客様とコミュニケーションをとって、リクエストに答えて、まさにインタラクティブな場でした。最も幸せな音楽のあり方でしょうね。これからの音楽産業の進むべき方向を示唆してくれたと思います(本来の形に戻るということなのでしょう)。
さて、この贅沢な時間が終わったあとは、私たち二人は神保町へ向かいました。職場の後輩も呼び出して、いろいろな意味で(笑)大好きなお店、「御燗」で宴会です。
敵地の懐深く入り込んで、堂々と飲む、いや呑み込む楽しさはいつも格別です(笑)。今日も本当においしいおいしい秋田料理と秋田のお酒をたっぷり堪能いたしました。これまた最高の味わいで水晶婚式を演出していただきました。ありがととうございました!
帰りの最終高速バスでは二人ともぐっすり。富士急ハイランドに到着すると、まさに水晶のような月夜富士が私たちを迎えてくれました。ありがたや。
これからも二人は楽しくやっていきますよ。世の中のために今まで以上に頑張らせていただきます!どうぞ変わらぬご愛顧を。
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