仲小路彰と原智恵子
先日の「仲小路彰と三浦環」の続き。最近、ちょっと昔の日本人の話が多いですね。私的な流行のようです。
ということで、仲小路彰と三浦環が山中湖で再会し音楽で結びついていたということを書いたばかりですが、ここにもう一人の「伝説の女流音楽家」の名前を足さねばなりません。
その女性の名は「原智恵子」。それこそ長い間日本では忘れられていた「伝説のピアニスト」です。私も彼女の名を知ったのは、「原智恵子 伝説のピアニスト」を読んだのがきっかけでして、それは10年くらい前の話。なんとなく「伝説の…」いう響きに弱かった頃ですね(笑)。
その後、知り合いのピアニストにCDを貸していただいたのですが、その時の驚きたるや…。
さて、その音はあとで聴いていただくとして、彼女と仲小路彰の関係です。実は戦中から知り合いだったようです。というのは、原智恵子の最初の旦那さんである川添紫郎(フランス映画の輸入などに貢献した人。のちイタリア料理店キャンティを創業したことでも有名。ちなみに智恵子の二人目の旦那さんはチェロの巨匠ガスパール・カサド!)が仲小路彰に心酔していたようなんですね。
もともとヨーロッパ帰りの音楽家どうしということで、智恵子と三浦環は仲が良かった。そんなこともあって、三浦環と仲小路彰も結びついたと。
昭和18年には環が、19年に仲小路が山中湖に疎開したのを追うように、原智恵子も19年末に山中湖に疎開します。
先日書いた山中湖三国荘別館にある三浦環ゆかりのピアノは、なんと原智恵子も演奏したとのこと。さっそく行って触らせてもらわねば。仲小路の歌曲を、智恵子の伴奏、環の歌で演奏したかもしれない!
さて、先ほど書いた、私が驚いた智恵子の録音ですが、そのCDとはこちら「パリの原智恵子」です。
何がすごいって、冒頭にあるバロックの小品が素晴らしいのです。リュリ、ラモー、クープラン。ラジオ番組のための1953年の録音だそうですが、なんと美しいことか。ピアノによるフランス・バロックでこんなにすんなり耳に入り感動してしまったのは初めてでした。
なにしろ、タッチと装飾のセンスが並ではない。ああ、これはパリでチェンバリストに習ったなと思いました。そのチェンバリストが誰なのか私は分かりませんが、いわゆる古楽的な経験がないと、この音は作れないでしょう。
というわけで、Amazonの試聴でちょっと聴いてみてください。たった45秒でも充分にわかるはずです。これはホンモノのフランス・バロックであると。
どうですか。素晴らしいでしょう。
先日は伝説のプリマドンナ三浦環の声が仲小路をインスパイアしたであろうと書きましたが、そこにさらに伝説のピアニスト原智恵子の奏でる音が加わっていたわけですから、これはもう本当にとんでもないことが、富士北麓山中湖畔平野で実現していたということになりますな。
ますます仲小路彰の残した曲に興味が湧いて来ました。
ちなみに、今、彼の曲でしっかり歌われているのは、山中湖村立東小学校の校歌だけではないかと思います(私は残念ながら聴いたことがありませんが)。生徒たちはその作詞作曲家がこんなとんでもない人だったとは全く知らないようです。もしかして先生たちも知らないとか?
う〜む、過去と未来がぐるっと回ってくっついて、妄想になっていく(笑)。
最後に彼女のショパンの演奏を聴いてみましょう。彼女は日本人として初めてショパン国際ピアノコンクールに出た人です。結果は15位でしたが、その審査過程の中には東洋人に対する偏見があったのでしょうか、結果に納得しない聴衆が暴動を起こしてしまい警官隊まで出動。しかたなく「聴衆賞」を急遽授与することになった話は有名です。
ちなみにその時彼女が弾いたピアノはなんとプレイエルだったそうです。
ということで、彼女がショパンコンクールに出た年、1937年に録音されたというショパンのスケルツォです。これもプレイエルかなあ。なんか新鮮に聞こえるのは気のせい?
追記 仲小路と環と智恵子の輪に、去年亡くなったあの「伝説のヴァイオリニスト」諏訪根自子も加わっていたかもしれない!?
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