サラリーマン川柳
ここのところ重い記事が続いたので、今日は軽く行きましょう。
とは言っても私のことですから、ついつい深読みしたくなります(笑)。
昨日のタルコフスキーがいかにも旧ソ連の空気を醸していたように、このサラリーマン川柳というのは、実に見事に現代日本を映していますよね。
もともと川柳という大衆文化は、庶民の「おかしみ」「かるみ」「うがち」を通して、実際にはその裏返し、世の中への「悲哀」や「重み」や「諦念」を表現するものだと私は解釈しています。
そういう視点で言えば、今年の第一生命「第26回私が選ぶサラ川ベスト10」の候補100作は、なかなかに傑作揃いであります。
皆さんもぜひこちらをじっくり味わっていただき、そして、大いに共感して投票してみてください。
そして、ついでに過去の名作も読んでみましょうね。
このサラリーマン川柳の味わい方のコツですが、先ほどのような裏返して読む読み方はもちろんのこと、それ以前に必ず声に出して読むこと、そしてそれぞれの雅号を必ず作品の最後にこれまた声を出して読むことをお忘れなく。
伝統的な川柳もそうであったように、雅号も含めての作品です。雅号は五七五という世界最小の詩を裏で支える大きな役割を果たしています。
匿名性によって「横」の拡がりを獲得した詩は、時として、これまた匿名性に支えられている政治や国家というものを動かす力を持つものです。
そういう意味で、江戸幕府が川柳にさえも大きな弾圧を加えたのはもっともなことであります。
今こうして私たちはネットというさらなる匿名の大衆性を獲得して、こうした「文化的抵抗力」を持ち得ているのは、幸せと言えば幸せなことですね。
今日、クローズアップ現代で「白い恋人」と「面白い恋人」をめぐるパロディー論をやってましたけれども、なんというかなあ…「シャレ」の通用しない世知辛い世の中というのはいやですね。
そのうち「川柳」もくだらないとか、腹が立つとか言う人が出てきたりして(苦笑)。いやいや、そうなってほしくないものです。
学校でもやってみようかな。最近教育界もギスギスしてますので。こういうガス抜きの場を生徒にも先生にも用意してあげることも大切でしょう。
「おかしみ」も「かるみ」も「うがち」も「しゃれ」も、日本がほとんど世界で唯一平和国家を何千年も続けてこれた、その要因となる「智慧」であったと思います。
ああ、それにしてもよく笑った。みんなうまいなあ。私も真面目な短歌だけでなく、こういうのもやってみようかな。こっちの方が得意だったりして(笑)。
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