『Abduction めぐみ–引き裂かれた家族の30年』 (クリス・シェリダン&パティ・キム監督作品)
これは…なんとも言えない苦しさに満ちた作品です。
なれし故郷を放たれて 夢に楽土求めたり…めぐみさんが歌う「流浪の民」。
そう、そういう理不尽な苦しさこそが拉致の本質なのです。その本質にどこまで肉薄できているのか、それは私たち第三者には分かりませんが、ただ、日本で制作された番組や作品と比べれば、間違いなく優れた成果をあげていると言っていいと思います。
国内よりも国外の表現者の方が本質に迫れる…これはたとえば「ヒロシマナガサキ」にも言えることでした(ちなみに今日この作品も久しぶりに観ました。広島への修学旅行が控えているからです)。
この「Abduction」を観るきっかけとなったのは、横田めぐみさんのご両親に直接薦めていただいたからです。ぜひご覧になってくださいと。
9月、私が45年ぶりに横田夫妻にお会いした日、いろいろなお話をさせていただいた中でこの作品のことが話題になりました。
その時、安倍現総理と昭恵さんの話題になりまして、お二人は拉致問題に大変積極的だ、昭恵さんもこの映画を大変積極的に広めてくれた、ということをうかがいました。
それからずいぶん時間が経ってしまいましたが、ようやくDVDを手に入れて全編観る機会を得たわけです。
製作総指揮は私も大好きな「ピアノ・レッスン」のジェーン・カンピオン。映像面でのカンピオンらしさはあまり感じられないものの、テーマの掘り下げ方や音楽や効果音の使い方には独特の力があります。
国内の番組などでは紹介されないであろう証言やシーンも多数。なぜ日本でこういうものが作られないのか、その理由を考えるのもまた勉強になると思います。
30年…このドキュメンタリー映画が制作されたのが2006年でしょうか。今年2013年は、めぐみさんが拉致されてから36年になってしまいます。
今まで何回か書いてきたように、今年は大きな動きがあると私は信じています。半年前には想像しなかった第二次安倍政権が成立しました。この映画にも官房長官として登場している安倍さん、本気で拉致問題解決に動いていると聞きます。
金正恩は核実験を行いそうな雰囲気ですが、それもまた北朝鮮の焦りの表現であります。安倍さんには小泉時代の経験を活かしていただき、大胆かつ巧妙な外交をしていただきたいと思っています。
この映画を観て、ますますその思いが強くなりました。めぐみさんは絶対に生きて帰ってくる。
Amazon めぐみ–引き裂かれた家族の30年
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