体罰と軍隊と…
痛ましいニュースに沈鬱な気持ちになります。
もちろん、自ら命を絶ってしまった生徒や、その家族の気持ちになってそういう気持ちになるということもあります。
一方で同業者として顧問の先生の立場になった時にもなんとも言えない暗い気持ちになりますし、学校として苦悩を共有することもできます。
しかし、あえて批判を恐れず言わせてもらいます。
やっぱり、死んじゃいけない。
そう言わずにいられない理由は、以前いじめ自殺問題の時に「生きる力=死なない力(その2)」に書いたとおりです。ここでは繰り返しません。
もう一つ、今日私が言いたいのは次のことです。
暴力の必要ない世の中を目指すべきなのは当然だが、現在の人類のレベルではまだ暴力は必要悪だ。
これについても非難されてもしかたがないと思っています。特に今の風潮の中では。
私は理想のために現実を見る主義なので、やはり熟考の末こういう結論に至ります。
現実には、今の私たちの魂のレベルでは、「圧力」がないと自身をダメにしてしまうのです。自律、自立していなのです。
単純に考えて、大人である、あるいは先生である自分でさえも、相手によって態度が違う。行動が違う。
卑近な言い方をすれば、おっかない人の前では礼儀正しく努力家になるが、優しい人の前では不躾になり怠惰になるということです。
時として圧力のない世界は人をダメにします。つまり、圧力を排除することで、自他の「悪」を助長してしまう可能性というのがあるのです。
これは外交についても言えます。安倍内閣で心配されている「国防軍」の話や、軍備拡張の傾向も、実は同様の視点から考えてみることも必要だと思います。
私はフラクタル理論や出口王仁三郎の雛型理論で世の中を見ていますから、今回の「体罰」の問題と「軍隊」の問題は非常に似ていると感じているのです。
なんでもお人好しに「話せば分かる」「仲良くしましょう」というような、ある種の「性善説」に則った他者との関係が、残念ながら結局堕落や争いを招いてきたことは歴史が証明しています。いや、歴史を繙かなくとも生活体験から分かります。
実際に民主党政権下では、周辺諸国からの圧力や暴力や理不尽な要求が増えましたね。
やはり、外交は「右手で拳を振り上げ、左手で握手する」という姿勢で臨まないと。
学校でもそうなんです。知り合いの通う某県の某公立中学校では、体罰どころか、生徒の手を触れないように先生たちは言われている。面倒なことが起きないようにということらしい。
その中学校が今どんな状況か、言うまでもありません。先生はなめられまくり、全く秩序のない動物園状態です。
ここでもう一度確認しますが、「右手で拳を振り上げ、左手で握手する」ことは望ましい状況ではありません。残念なことです。理想ではありません。
しかし、現実には私たち人類のレベルは、まだ「暴力」を必要悪として認めざるをえない状況なのです。
あえて言うなら、以前は拳で殴っていたのが、振り上げるだけですむようになった、レベルが上がったとも言えるのですが。
そういうレベルの私たちが、単なる理想論や偽善的な精神、あるいはきれい事だけに寄り添って、「暴力反対」「体罰禁止」「軍事力放棄」を訴えると、自然と自他の「悪」が助長されてしまいます。
マスコミや識者たちも、そういう視点で今回の問題をとらえてほしい。もちろん行き過ぎはいけない。体罰と暴力と愛のムチは分けて考えなくてはいけない。そんなことは当たり前です。
しかし、単純な二元論的思考、あるいは原理主義的思考によって、「力」を排除する、「力」を行使する権利を奪うことは、現段階の私たちにとって決してプラスにはならないということを、我々は知っておかねばなりません。
自他に「善」を期待するためにも、自他の「悪」としっかり向かい合わなければならないと思います。そして、いかに人類の魂のレベルを上げていくか。
私は思考停止しないように心がけたいと思っています。
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コメント
世間では「二元論」だなんて、そんな話しになってます?
なんだかズレてる気がしますけどね。
友人さんの学校が「動物園状態」になった原因は、暴力の欠如では無く、単に学校側の事なかれ主義と、それに甘えた生徒達の相互作用によるものでしょう。長年その状態が続いているのなら、すなわち双方それで居心地が良いのでしょうから放っておくことです。
庵主様は日々、「暴力」では無い別の力を行使して学校運営をなさっているはずです。一々暴力を行使せずとも、拳はただ振り上げただけで済むはずです。
私には庵主様自身が、性悪・性善説にかこつけて二元論に持ち込もうとしているようにしか見えません。
「死んじゃいけない」その通りですよ。そして「死なせてもいけない」。当たり前でしょ?
日常的に数十発殴るだけでなく、加えて生徒を追い詰める。それが事実であるなら明らかに行き過ぎです。どうしてそのような状況になり、悲惨な結果になったのかが重要で、なんで二元論に話しを持って行くのか理解しかねます。
投稿: LUKE | 2013.01.12 00:42