追悼 横綱大鵬
「昭和は遠くなりにけり」…この言葉はいつ頃から言われるようになったのでしょうか。
実際こうしていても時は動いていくわけですから、どんどん昭和が遠くなっていくのは事実。しかし、それを実感するのは、その時代を象徴していた人が亡くなった時です。
時間という河が未来(上流)から過去(下流)へ向かって流れている、私たち生きている人間はその流れの中に踏ん張っている、という私の時間観(人生観)からすると、人が亡くなるというのは、一緒に河の流れの中に立っていた人が「ワシは行くよ」と言って、河の流れに身を任せて下流に流れていってしまうことです。
昭和の時間をたっぷり体に受けて、それこそ正面から受け止めてきた大鵬という実体が「歴史」という情報になってしまう。そんな言い方は失礼かもしれませんが、私の「モノ・コト論」ではそのように解釈されます。生きているモノが不変のコトになる…。
その変化こそが私たちに寂しさを感じさせるのです。
私は1964年生まれですので、幼い頃、現役の大鵬の相撲をテレビで観ています。どちらかというとその次の世代の相撲にはまって、小学校高学年の頃には本気で行司になろうかと思ったくらいですけれども、やはり大鵬の「かっこいい」イメージというのは、どこか私の相撲観のベースになっているという気がします。
少年だった私の大鵬の思い出というと、当時住んでいた東京大田区の雪谷の町内に「雪ヶ谷八幡神社」という立派な神社があり…と言っても私が住んでいたのは雪が谷大塚駅の近くで、その神社はお隣の石川台駅のすぐ近くなのですが…そこに横綱大鵬によって奉納された「出世石」という大きな石碑があったことでしょうか。
そこに大鵬の手形が彫り込まれてあり、相撲好きの友人と自転車で出かけてその手形に自分の手を当ててみて驚嘆した覚えがあります。
大鵬は若かりし頃、まだ四股名が納谷だった頃、その神社で子どもたちに稽古をつけていたそうです。その後出世して横綱になれたのは、八幡様のおかげであると、この出世石の文字を奉納したとのこと。私も稽古つけてもらいたかったな。
ところで最近の相撲界、40場所連続外国人力士が優勝するなど、日本人力士の不甲斐なさに何とも言えない気持ちにならざるをえないわけですが、考えてみると、大鵬関も半分はウクライナの血が流れているのですから、外国人力士隆盛の緒となった言えなくもありませんね。
力道山にせよ、王貞治にせよ、そして大鵬にせよ、戦後日本の復興には、実は外国のエネルギーが大きく関与していたということでしょうか。それがまた本来古来の日本らしさなのかもしれませんね。
ご冥福をお祈りします。
追伸 お孫さんが初代タイガーマスク佐山聡さんのところに弟子入りしたとのこと。素晴らしい体躯の持ち主なので、プロレスラーとしての活躍を期待しましょう。
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