2013年はスーパー彗星イヤー
↓2011年ラヴジョイ彗星
昨年2012年はスーパー天文イヤーでした。特に日本では金環日食に湧きましたね。
一転して今年は、特に大きな天文現象はない…はずでしたが、予定外にとんでもないものが観られることになりました。
肉眼彗星二つです。パンスターズ彗星とアイソン彗星です。
予定外と書きましたけれども、パンスターズ彗星は一昨年2011年の6月に、アイソン彗星は去年2012年の9月に発見され、その時点で軌道の計算がなされ、かなり明るくなるという予想はされていました。
パンスターズ彗星は3月から4月にかけて、アイソン彗星は11月から12月にかけて日本で観測することができそうです。
特にアイソン彗星は史上最大級になり、なんと昼間でも観ることができるようになるかもしれません。これは大変なことです。ニュートンやハレーも観測した1680年のキルヒ大彗星以上の明るさ、すなわち満月よりも明るくなる可能性があるのです。
まさに500年に一度の一大イベントになるかもしれません。
パンスターズ彗星は、なんとかマイナス等級になる程度でしょうから、それほど見応えがあるものにはならないかもしれません。
普通の星、たとえば恒星や惑星では、1等級や0等級、マイナス1等級ともなると、かなり明るい印象がありますが、彗星の場合、面積があるので、思っている以上には(つまり写真で見て期待するような)明るさには感じられないものです。
それに比べてアイソン彗星の場合はマイナス10等級以上に明るくなるかもしれないとのこと。さすがにこれは壮観なことになりそうですね。
しかし、私たち天文ファンはよく知っています。彗星の光度予想が非常に難しいことを。いくつもの例を挙げるまでもなく、期待どおりに明るくならなかったもの、予想外に明るくなったものばかりで、実は予想通り、期待通りということの方が少ないのです。
これは、彗星本体の構造や成分が事前になかなか確認できないことに起因しています。
おそらくはこの二つの彗星両方とも、いわゆるオールトの雲から生まれたものと考えられますが、そのオールトの雲自体その実態がよくわかっていません。
今回の二つの彗星は、今のところ回帰しない彗星、すなわち二度と太陽に近づかない、つまりもう二度と観ることができない彗星のようです。
そうした大彗星を同じ年に観測できる私たちは幸せ者ですね。いやが上にも期待が高まります…が、期待はずれになることも想定しておきましょう。
太陽に近づいた所で分裂したり、爆発したり、蒸発しちゃったり、消えてしまう可能性さえあるわけですからね。
古来、彗星は凶兆とされてきましたが、私は今回の二つの彗星の来訪は吉兆のような予感がしています。
その予感が的中するためにも、期待通りに美しい姿を私たちに見せてほしいものです。みんなで祈りましょう。
ちなみに、パンスターズもアイソンも個人名ではなくプロジェクト名です。彗星探査の技術は格段に向上しました。そのおかげで、個人のコメットハンターの活躍の場がなくなってしまって、ちょっと残念だと思うのは私だけではないでしょう。
池谷・関彗星(の写真)に心躍らせた少年時代の私の夢は、自分の名を冠した彗星を発見することでした…。
| 固定リンク
「自然・科学」カテゴリの記事
- 南海トラフ地震や首都直下地震、富士山噴火。天災リスクのリアル(2021.04.02)
- 『日本習合論』 内田樹 (ミシマ社)(2021.04.01)
- 『日本の感性が世界を変える 言語生態学的文明論』 鈴木孝夫 (新潮選書)(2021.03.30)
- ホモ・パティエンス(悩める人)(2021.03.31)
- EV推進の嘘(2021.03.17)
コメント